【今週の振返り】消費増税延期と解散・総選挙で610円上昇の週

2014年11月15日 20:14

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「国際化が進んだ世界有数のマーケット」と、気取ってみても、「やっぱり日銀と永田町にはかなわない」と、思い知らされる。

 前週末7日のNYダウは19ドル高で3日連続史上最高値を更新したが、NASDAQ総合指数は5.94ポイント下落した。10月の雇用統計は、失業率は市場予測の5.9%より低い5.8%に改善したが、非農業部門就業者数は市場予測の9月比23万人増に対し21.4万人増と下回った。8、9月の就業者数の伸びは上方修正されたが、株式市場はもみあいの末に小幅高、為替はドル売り。10日朝方の為替レートはドル円は114円台半ば、ユーロ円は142円台後半で、円高方向に振れていた。

 日経平均は122.11円安の16758.27円で始まる。TOPIXもマイナス。午前9時4分に16713円まで下落した後は16750円をはさんだもみあいが続くが、為替に調整が入ってドル円が114円台前半、ユーロ円が142円台前半まで円高が進行するのでプラスに浮上できない。10時台に下げ幅を圧縮し16800円台に乗せる。10時30分に中国の10月の生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)が発表され、PPIは2.2%下落で市場予測より悪く、CPIは1.6%上昇で市場予測と一致した。日経平均は16800円台から滑り落ち11時すぎには16750円も割り込む。その後は15760円付近ではね返されるまま、前引けは16758円だった。

 後場は前引けとほぼ同じ水準で再開し、16800円にもタッチしながら午後0時台、1時台は16760~16800円のレンジの値動きが続く。円高の進行もその間は小康状態だったが、2時を回るといきなりドル円が114円割れし、日経平均も一気に16720円付近まで凹む。しかしそれも一時的。2時台後半はドル円は114円台に戻して日経平均も16760~16780円で底堅く静かに推移し、動きに乏しいまま大引けになり終値は99.85円安の16780.53円と反落した。日中値幅は105円。TOPIXは-3.56の1360.11。売買高は20億株、売買代金は2兆516億円と前週からクールダウンしていた。

 プラスのセクターの上位は鉱業、鉄鋼、パルプ・紙、非鉄金属、海運、石油・石炭など。マイナスのセクターの下位は情報・通信、医薬品、輸送用機器、電気・ガス、精密機器、食料品などだった。

 週明け10日のNYダウは39ドル高で4日連続史上最高値更新。NASDAQは19ポイント上昇。前週の3日連続史上最高値更新を受けて高値警戒感と利益確定売りで安く始まったものの1時間ほどでプラス圏に浮上し、後は安定的に推移した。11日朝方の為替レートはドル円は114円台後半、ユーロ円は142円台後半で、前日夕方から少し円安に振れた。

 前日、政府・与党は法人減税の引き下げ幅を2016年度までに2%台後半とし、2015年度は2%を軸に調整に入ったと報じられた。国際収支が発表され、9月の貿易収支は7145億円の赤字、経常収支は9630億円の黒字で、黒字の額は8月の2871億円も市場予測の5377億円も大きく上回った。4~9月の年度上半期の貿易収支は4兆3974億円の赤字、経常収支は2兆239億円の黒字。10月上・中旬の貿易収支は4563億円の赤字だった。

 日経平均は88.96円高の16869.49円で反発スタート。TOPIXも反発した。調整もすんだのか序盤は順調に上昇し午前9時7分に16900円を突破。国際収支の発表に反応したのかドル円は円安が進行し9時15分すぎに115円台にタッチした。しかし日経平均は頭を抑えられて16900円台を守れず、為替が円高方向に反転すると10時ジャストに16855円の安値をつけた。10時台は16880~16900円のレンジで動く。上海と香港の証券当局は前日、上海市場と香港市場の株式相互取引を17日に始めると発表した。それを好感してか上海総合指数も香港ハンセン指数もプラスで始まる。11時台にようやく16900円台に乗せて11時9分に16921円の高値をとり、前引けは16907円だった。

 後場は16900円を割って安く始まるが、すぐ回復し午後0時台は高値を取りながら上昇して16950円を突破する。短い踊り場を経た後、ドル円が115円台に乗る円安進行を受けて1時10分にはついに節目の17000円を突破。「終値で大台」の期待が高まる。その頃、政界周辺で「来年の消費税の10%への引き上げは先送りにし、11月中に解散して12月に総選挙」という見方が強まり、与党幹部が準備を指示してにわかに「本気度」が高まった。日経平均は消費増税先送りを好感したのか1時45分すぎには17100円を突破した。

 日経平均は永田町から吹く解散風を背に受け上昇を続け、4日のザラ場中の年初来高値17127円をあっさり更新した。2時19分には17160円のピークをつけるが、さすがにそこで折り返し。それでも17100円台を保ったまま大引けになり、終値は343.58円高の17124.11円で念願の大台に乗せ年初来高値更新。終値17000円台は2007年10月18日以来になる。日中値幅は305円もあった。TOPIXは+15.10の1375.21で終値ベースの年初来高値更新。売買高は24億株、売買代金は2兆5474億円だった。

 プラスセクター上位は精密機器、不動産、小売、空運、情報・通信、食料品など。下位は卸売、その他金融、海運など。マイナスセクターは鉱業、ゴム製品、石油・石炭だった。

 11日のNYダウは、政府機関や銀行の休業日で債券、為替市場が休場する「ベテランズ・デー(復員軍人の日)」で薄商い。マイナスの時間も長かったが1.16ドルの小幅高で5日連続史上最高値を更新した。NASDAQは8.93ポイント上昇。ドル円は一時116円台にタッチし、12日朝方の為替レートはドル円が115円台後半、ユーロ円が144円台後半で、前日よりも円安が進んでいた。

 前日午後3時に発表された10月の景気ウォッチャー調査は、現状判断指数は9月から3.4ポイント低下し44.0。2ヵ月ぶりに悪化して50を3ヵ月連続で下回った。先行判断指数は9月から2.1ポイント低下し46.6で5ヵ月連続悪化。内閣府は4月以来の基調判断下方修正を行った。

 日経平均は129.01円高の17253.12円で始まる。TOPIXもプラス。序盤はいったん17300円前後でもみあった後、午前9時台後半に再び上昇し9時47分に17389円の高値。その後は17300円台後半で高止まりするが、10時15分頃からおおむね17300円台前半に水準を下げる。中国市場は上海マイナス、香港プラスで始まるが日経平均は反応薄で安定した値動きが続く。11時前から再び上昇し11時5分に17400円を突破して17411円まで上がるが、菅官房長官が「消費増税の先送りはあり得ない」と発言するとドル円は115円台前半まで円高に振れ、日経平均は17200円台まで下落し、前引けは17273円だった。

 後場は17300円台に戻して再開。17350円前後でもみあった後、午後1時ジャストに17400円台も回復。為替も徐々に円安方向に戻していた。1時4分に17443円の高値を更新した後は、17400円を軸に上下30円ほどの値動き。2時に17350円近辺まで下げ、2時台には徐々に下に向かう。しかし終盤になると17300円、17200円を次々崩される。直前、国会では麻生財務大臣が消費税率の10%への引き上げは「待ったなしの話だ」と発言していた。2時44分に17170円まで下げて安値をつけ、大引け前は17200円近辺に張りついたまま。それでも終値ベースの年初来高値を更新し72.94円高の17197.05円で続伸。日中値幅は273円。TOPIXは+1.84の1377.05。売買高は31億株、売買代金は3兆2703億円にふくらんだ。

 プラスセクター上位は不動産、空運、小売、精密機器、パルプ・紙、陸運など。マイナスセクター下位は建設、海運、鉄鋼、卸売、繊維、機械などだった。