燃料電池自動車は高圧水素貯蔵タンクに貯められた水素と空気中の酸素を化学反応させ、発生した電気によりモーターを動かして走るという仕組み。水素を燃やすわけではないので化学反応時に生まれるものはCO2ではなく水と電気だ。
12月15日よりトヨタ<7203>から燃料電池自動車「MIRAI」が発売開始される。ホンダ<7267>も15年度中に発売予定のコンセプトカー「Honda FCV CONCEPT」を発表した。
燃料電池自動車は高圧水素貯蔵タンクに貯められた水素と空気中の酸素を化学反応させ、発生した電気によりモーターを動かして走るという仕組みだ。燃料は水素だが車としては電気自動車となる。水素を燃やすわけではないので化学反応時に生まれるものはCO2ではなく水と電気だ。とてもクリーンで素晴らしく見えるのだが、ここでひとつ、「水素」の生まれ方、作り方について疑問を持ってみたい。
水素はどこかの発生源から得られるわけじゃなく、何か他の物質から作り出さなければならない。理想的なのは太陽光で作られた電力で水を電気分解して水素を生み出す方法。これはホンダが12年に埼玉県庁敷地内に作ったソーラー水素ステーション等で実際に稼働している。
とても理想的だが問題もある。この水素ステーションは24時間(太陽光と商用電源を併用)で1.5kgの水素を製造するがそれはホンダ「FCXクラリティ」が約150km走行する程度の量なのだ。これでは今後増える燃料電池車を賄うことは難しい。
需要と供給を満たすため、これから当分の間作られる水素ステーションは、都市ガスやLPガスの改質で得る方法が増えそうだ。似たような生成方式では家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「エネファーム」が有名だと思う。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が発行する「水素エネルギー白書 2014」には様々な原料から1Nm3製造するコストが書かれている。石油精製からだと23~37円、水電解だと76~136円、化石燃料等の改質だと31~58円だ。水電解はエコだがコストが高い。石油精製は本末転倒な感じがするがコストは安い。
燃料電池自動車は“エコ”だと思うが、その燃料である水素を生み出す時に大量の電力や石油を使っているとしたら“エコ”と言えるかは疑問である。新車製造時のCO2発生についても昔から言われている。つくづくエコカーは難しい。なお、トヨタ「MIRAI」の価格は723万円6000円。(編集担当:久保田雄城)