4日のNYダウは12ドル安で3日ぶりに反落。NASDAQ総合指数は5ポイント下落した。一時97ドルまで下落した最大の原因はECB理事会の結果発表とドラギ総裁の記者会見。政策金利は据え置きで、国債購入を含む量的緩和策への期待を裏切って具体的には何も出ず、記者会見で「来年の早い時期に金融政策が適切かどうか見直す」とほのめかしただけ。失望したマーケットはユーロ高と欧米市場の株安で反応した。それでも新規失業保険申請件数が改善して30万件を割り5日の雇用統計に期待をつないだことなどで、午後には取引時間中の史上最高値を更新した時間帯もあった。航空株は買われたが小売株、エネルギー株はおおむね軟調。為替のドル円は7年4ヵ月ぶりに120円台にタッチし5日朝方は119円台後半。一時149円寸前までいったユーロ円は148円台前半に落ち着いた。
CME先物清算値は17860円。取引開始前に11月上・中旬の貿易収支が発表され、貿易赤字は9782億円で9.4%減。円安による輸出の好調、国内消費下振れによる輸入減、原油安などの相乗効果。日本貿易会は前日に貿易収支は2014年度11兆7710億円の赤字、2015年度10兆4570億円の赤字で2年連続で赤字幅縮小という見通しを出していた。
日経平均は65.36円安の17821.85円で反落スタート。TOPIXも反落。序盤は17800円台は維持していたが、10分ほどで17800円を割って急落。午前9時22分に17759円で底を打った後はV字回復し17800円台に戻った。これで、予告がありマーケットも期待した「贈り物」をドラギECB総裁がくれなかった「逆サプライズ」を織り込んだ形。テクニカル的には、前日終値時点の25日騰落レシオは141.97で12日連続120オーバーの過熱ゾーンでも、25日移動平均乖離率は4.55%で過熱の目安の5%より下だった。10時1分に17849円まで上昇するがプラスには浮上できない。でも前場マイナスのままなら「後場に日銀が助けてくれる」期待が生まれる。上海総合指数も香港ハンセン指数もプラスで始まり10時32分に17853円の前場のピークをつけるが、10時、11時台は17840円を軸に上下10円程度の小動きが続き、前引けは17850円。36円安で日銀砲、発射用意。
後場は前引けとほとんど同水準で始まり、下落幅を縮めて午後0時43分、前日終値に10円差の17876円まで上昇するがそこで頭を抑えられいったん凹む。それでも1時前から上昇に転じ、TOPIXを露払いに1時20分頃にはプラスに浮上した。株価指数がプラスになること。それが日銀の「正義」。〃正義の味方〃の「日銀砲」374億円が炸裂して日経平均は17900円を超え、1時16分には17914円まで上昇してザラ場中の年初来高値を更新した。1時台は下押しされてもマイナスまでは落ちない。為替のドル円は120円台に安定的に乗っていた。
2時に内閣府から10月の景気動向指数速報値が発表され、一致指数は9月比で0.4ポイント上昇し110.2で2ヵ月連続上昇。先行指数は9月比で1.6ポイント下落し104.0で2ヵ月ぶりに低下した。基調判断は「下方への局面変化を示している」で据え置き。2時台、金曜日の利益確定売りなのか正義の日銀砲に歯向かう怖いもの知らずが出現。その仕掛けで日経平均は一時マイナスに落ちて17870円付近まで下落するが、V字回復で一蹴されて17900円台に戻る。終盤は高値引けを試すように上昇して2時58分に17922円まで上昇し、終値は33.24円高の17920.45円で6日続伸し、5日間全勝、前週末11月28日終値から460.60円上昇して今週の取引を終えた。終値も年初来高値更新で、為替レートを無視して絶対値で比べればNYダウの終値17900ドルを終値ベースで上回り「NN倍率」が1を超えた。日中値幅は163円。TOPIXは+5.07の1445.67でこちらも6日続伸し年初来高値更新。売買高は20億株、売買代金は2兆3027億円だった。
東証1部の値上がり銘柄数は976で全体の52%を占めた。値下がり銘柄数は716。33業種別騰落率は21業種が上昇、12業種が下落。プラスセクター上位は保険、金属製品、水産・農林、機械、証券、化学工業など。マイナスセクター下位は小売、陸運、建設、空運、精密機器、倉庫などだった。
日経平均採用225種は値上がり128銘柄、値下がり82銘柄。プラス寄与度1位はエーザイ<4523>で-11円、2位はファナック<6954>で+10円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-26円、2位は京セラ<6971>で-4円だった。
みずほ<8411>は値動きなし、三菱UFJ<8306>は7.9円高で年初来高値更新、三井住友FG<8316>は11円高。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が1月に約130兆円の公的年金資金の具体的な運用方針を議論する投資委員会を立ち上げると報じられた。野村HD<8604>は5.7円高だった。
国土交通省は欠陥エアバッグ問題でタカタ<7312>とホンダ<7267>に国内では初の「調査リコール」を命じると報じられた。タカタは7円安、ホンダは13円高。この問題を受けてトヨタ<7203>は「予防的措置」として前日、「カローラ」など19車種18万台以上をリコールすると国土交通省に届け出て12円高で6日続伸。もちろん年初来高値更新。下期の想定為替レートがドル円105円で円安が1円進むと営業利益が400億円増えるといわれ、120円なら6000億円の増益になる。富士重工<7270>も4円高で6日続伸、マツダ<7261>は20.5円高、日産<7201>は14.5円高で年初来高値更新、三菱自動車<7211>は12円高。自動車用ランプの市光工業<7244>は中国の持分法適用会社を完全子会社化してグローバルな事業基盤を強化すると伝えられ21円高で値上がり率11位に入った。
日立<6501>は11月に株式を売却したHDDのウェスタン・デジタルの売却益が株高と円安で100億円上振れする見通しで3円高で年初来高値更新。2015年度にも女性社員が育休・産休を取っても復帰後すぐに戦力になれる新しい人材活用制度を始めるシャープ<6753>は値動きなし。交通システムの売上を5割増にすると報じられた三菱電機<6503>は、電子部品用の合金を製造している三菱電機メテックス(神奈川県相模原市)を2015年夏に清算するニュースもあり35.5円高。東芝<6502>は0.7円高、ソニー<6758>は34円高で年初来高値を更新した。
半導体関連のSUMCO<3436>は売買代金11位に入り210円高で年初来高値を更新して値上がり率4位。都市型データセンターのビットアイル<3811>は8~10月期(第1四半期)決算の経常利益が41.0%減の4.3億円と悪かったが2円高。