不振ソニーの正念場はいつ来るのか

2014年12月07日 13:43

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ソニーは今期の業績見通しで赤字が2300億円に達するという大幅な下方修正を発表した。

 ソニー<6758>は今期の業績見通しで赤字が2300億円に達するという大幅な下方修正を発表した。これはスマホ事業の伸び悩みで減損処理を行ったことによるものである。上場以来続けていた株主への配当も2015年3期は無配という発表をし、当初計画していた業績プランの甘さが明らかになった。

 同社は14年度の経営方針説明会で、3つの指針を示している。その一つにエレクトロニクスの事業構造の改革を挙げ十年連続で営業赤字が続いていたテレビ事業の分社化をし、同じく赤字を出していたPC事業を収束させることを明らかにした。この二つの主力事業の売り上げが落ち込んでいるのは新興国の成長鈍化という側面もあると思われる。今まで同社大きな利益をもたらし成長してきたこの二つの事業の縮小は、思い切った判断であったといえるのではないだろうか。

 改めてスマホ業界に力を入れたいソニーであるが、参入は思ったよりも簡単なものではないらしい。人口10億人というとても大きい市場をもち魅力的な中国だがサムスン、アップルのシェアは固く、低価格帯では高品質化してきている中国のスマホ企業も急激に売り上げを伸ばしている。中国のスマホは機能性が劣っているという時代はとっくに終わっており、今では他のスマホ会社とほとんど遜色ない製品が多く出されている。また、今後中国は近隣アジア諸国へと足を延ばし市場開拓を図る動きが出てきていいる。スマホ事業に注力し変革を急ぎたいソニーだが、コスト削減に気をまわしすぎて勝負所を逃さないようにしたいところだ。

 14年3月期の当期益1284億円の赤字と計上した同社は、販売・本社合わせて5000人にも及ぶ人員削減や、品川本社ビルの売却など構造改革に奔走している。本業であるエレクトロニクス産業の赤字が続いている模様だが、平井一夫社長兼CEOは辞任を否定し、会社再建こそが責任であると語った。他の大手国内電機メーカーが地道に経営努力を反映させている中、悪化していく業績に株主も業を煮やしているだろう。まだ大丈夫という慢心が見え隠れする姿勢だがいったいいつが正念場なのだろうか。(編集者:久保田雄城)