業績不振にあえぎ続けるソニー<6758>が18日に行った投資家向けの説明会の場において、映画や音楽といった娯楽分野の大幅に伸ばすという中期目標を発表した。またホームページにおいても、同様の内容の発表を行った。そして業績不振の大きな原因である電機分野については、販売台数の規模を追わずに、利益確保に努める形で事業運営を行うとしている。
発表された中期目標によれば、2018年3月期の娯楽分野のうち、映画事業の売上高100億~110億ドル(約1兆1700億~1兆2870億)、営業利益率7~8%との目標を掲げており、15年3月期の予想よりも最大で36%アップを目指す。また音楽事業では売上高48億~52億ドル(約5620億~6080億円)、営業利益率10.5~11.5%との目標を掲げており、15年3月期の予想よりも最大で8%アップを目指す。
そしてソニーはこの目標を達成するために、新興国でも需要が見込めるテレビ番組制作を強化するとしている。また劇場用作品について、ヒットしなかった時の影響を考えてコスト削減に努める。そして音楽配信においてはインターネットから受信しながら聴く「ストリーミング方式」の利用者が増えており、これまで以上に力を入れていき利益率の拡大をはかる考えだ。
そして今月25日は、スマートフォン(多機能携帯電話)やゲーム、デジタルカメラなどのエレクトロニクス各事業の投資家向け説明会を行い、17年度の目標を明らかにする予定だ。ソニーのスマートフォン事業は競争の激化により減益処理に追い込まれているが、この事業についてソニーがどのような展望を示すのか注目がなされている。
そして各事業の目標値をもとに、ソニーは本社の費用や事業部間の調整を行った上で、15~17年度の連結グループとしての中期計画を策定する予定だ。
はたして目標通り娯楽分野の業績拡大に成功し、業績不振から脱出することができるか?長らく続く不振のトンネルから抜け出すことは容易ではないだろうが、日本の代表的企業の再浮上は日本経済にもよい影響をもたらすことが予想されることから、1日も早い復活を願うばかりである。(編集担当:滝川幸平)