【日経平均】一時25日線割れしSQ週の水曜日は400円安

2014年12月10日 20:14

 9日のNYダウは51ドル安と続落。東京市場、上海市場が反落し、緊縮財政反対派優勢と伝えられたギリシャの大統領選挙の情勢を背景にヨーロッパ市場は軟調。午前に一時222ドル安まで下落したが、原油先物市場の反発などで午後には戻した。NASDAQはプラスに転じ25ポイント上昇。ベライゾンが販促キャンペーンと値下げで10~12月期の利益が圧迫される見通しを示したため通信株が売られ、ベライゾンは4.0%、AT&Tは2.9%、スプリントは3.8%、TモバイルUSは8.3%それぞれ下落した。10日朝方の為替レートはドル円は119円台前半、ユーロ円は147円台後半で、円高の進行が止まらない。

 CME先物清算値は17620円。前日発表の11月の工作機械受注は36.6%増と好調だったが、取引開始前発表の11月の国内企業物価指数は前月比0.2%減。前年同月比は2.7%増だが間に消費増税が入る参考記録。10~12月期の法人企業景気予測調査は全体では5.0%増で、7~9月期の11.1%増から上昇幅圧縮。製造業は8.1%増だが非製造業は3.4%増と低い伸びだった。

 前日の上海総合指数は5.43%も大幅下落しギリシャ危機再来の不安まで浮上する中、鬼門中の鬼門「SQ週の水曜日」の日経平均は190.03円安の17623.35円で始まる。TOPIXも大幅下落でスタート。開始数分で17600円を割り込み午前9時5分に17556円まで下落。いったん17600円台に戻るがすぐに下落の第2波がきて9時40分に17518円で底を打つ。10時台は上昇しても17600円台は回復できないまま時間が経過する。10時30分に発表された11月の中国の消費者物価指数(CPI)は+1.4%で10月の+1.6%、市場予測の+1.6%より悪く、生産者物価指数(PPI)は-2.7%で市場予測の-2.4%よりも悪く33ヵ月連続マイナスという結果。前日は人民元急落で午後から大崩れした中国市場は上海も香港もマイナスで始まる。日経平均は朝の円高進行が止まり円安方向に戻したので17500円台で上がったり下がったりを繰り返し、前引けは17530円で282円の大幅安。これでは日銀砲を撃っても焼け石に水か?

 昼休みにドル円は再び円高方向に反転し先物は下落。後場は17500円を割り込み安値更新で再開する。午後1時20分頃までは17400円台を維持していたが、その後は17400円も割り込み安値を取る。ドル円は119円を割り込んだ。1時29分、前日時点の25日移動平均17350円のすぐ手前の17365円でいったん折り返すが、1時49分にはこのラインもあっさり割り、51分に17308円まで下げる。東京市場はやはり過熱していたようで小物の悪材料に過剰反応し、12日のメジャーSQをにらんだ先物の仕掛け売りも入って8日にタッチした18000円から約700円も安い。2時発表の11月の消費者態度指数は1.2ポイント低下して37.7で4ヵ月連続悪化。基調判断も「弱い動きがみられる」に下方修正されいいところなし。それでも終盤は17400円台を回復し終値は400.80円安の17412.58円で大幅続落。日中値幅は350円もあった。TOPIXも-29.26の1406.83で大幅続落。売買高は25億株、売買代金は2兆8514億円。

 値上がり銘柄は285、値下がり銘柄は1473で全体の79%を占めた。上昇は2業種、下落は31業種。プラスセクターは鉱業、水産・農林。マイナスセクターで下落幅が小さいのは石油・石炭、電力・ガス、情報・通信、小売など。下落幅が大きいのはゴム製品、輸送用機器、化学工業、鉄鋼、機械、繊維など。

 日経平均採用225種は値上がり16銘柄、値下がり207銘柄。プラス寄与度1位は日揮<1963>で+2円、2位は資生堂<4911>で+1円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-39円、2位はファナック<6954>で-26円だった。

 ムーディーズに続き、フィッチも日本国債の格付けを引き下げの方向で見直すと発表した。国債を大量に保有するメガバンクはみずほ<8411>3.4円安、三菱UFJ<8306>18円安、三井住友FG<8316>109.5円安。三井住友トラストHD<8309>は韓国第3位の大手金融グループのハナFGと業務提携すると報じられたが12.1円安。日韓の企業のM&Aの仲介でも協力する。野村HD<8604>は11.2円安だった。

 想定為替レートに比べれば円安水準でも、為替が円高に動けば自動車大手を直撃。輸送用機器セクターは業種別騰落率32位のブービー賞に。2015年のグループ世界販売計画(ダイハツ<7262>、日野<7205>含む)を過去最高の1030万~1040万台程度とするトヨタ<7203>だが233円安。1000万台越えは2年連続。ホンダ<7267>はタカタ<7312>の問題で国内でも自主的に調査リコールを実施すると正式発表して106.5円安。対象は2003~05年モデルのSUV「MDX」など5車種で13万4584台。マツダ<7261>も全米規模で調査リコールを実施する方針を固めて102円安。タカタは4円高。富士重工<7270>は192円安。上限1億1221万株の自己株取得枠を再設定するスズキ<7269>も127.5円安だった。

 動力を伝達するコントロールケーブルを製造するハイレックスコーポレーション<7279>は中国の杭州とハンガリーで増産すると報じられたが10円安。二輪車のブレーキでは世界最大手の日信工業<7230>はみずほ証券がレーティングを引き下げ115円安で値下がり率7位になった。

 ソニー<6758>は11日に中国での「PS4」1月下旬発売を正式に発表と伝えられ18円高と逆行高。中国政府の家庭用ゲーム機解禁は9月29日のマイクロソフトの「Xbox One」に次いで2件目。Xboxは初日に10万台が売れたという。パナソニック<6752>は国内トップシェアの監視カメラ事業を東京五輪に向けて強化すると報じられたが34円安。最先端のセンサー技術を活用した侵入検知システムなどを開発する。東芝<6502>は6.7円安、日立<6501>は23.9円安、NEC<6701>は5円安。ヘリオステクノHD<6927>はストップ高の80円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。材料は12日発売の「会社四季報」新春版で、来期の営業利益を2.23倍の19億円と予測している情報が流れた。この日から特定秘密保護法が施行されたが、東洋経済の秘密保護はどうなっている? 通信大手では唯一NTT<9432>が売買代金11位で83円高と逆行高していた。