前週末5日のNYダウは58ドル高で史上最高値更新。NASDAQ総合指数は11ポイント上昇した。アメリカの11月の雇用統計は非農業部門雇用者数が32.1万人増で、23万人増の市場予測を大幅に上回る2年10ヵ月ぶり大幅増のポジティブサプライズ。失業率は5.8%で10月から横ばい。イエレン議長が気にする平均時給も前月比0.4%増と市場予測を超える伸び。アナリストが投資判断を引き上げたヤフーは1.2%、スターバックスは2.8%上昇。原油先物が下落しエクソンモービルは0.6%、シェブロンは1.3%下落した。家電小売のベストバイは中国から撤退するニュースで1.2%の下落。雇用統計発表直後にドル円は121円台に乗せ、8日朝方の為替レートはドル円は121円台前半、ユーロ円は149円台後半で、円安が進行していた。
シカゴCME先物清算値は18045円。取引時間前に10月の貿易収支、経常収支が発表され、貿易収支は7666億円の赤字で市場予測より悪く前月比で赤字拡大。経常収支は8334億円の4ヵ月連続の黒字で前月比で黒字幅は縮まったが市場予測は大きく上回った。7~9月期の実質国内総生産(GDP)2次改定値はネガティブサプライズ。市場予測平均はマイナス0.5%でプラスの予測すらあったが、フタを開ければ11月の1次改定値の1.6%から下方修正のマイナス1.9%。野党にアベノミクス攻撃の格好の材料を提供しそうで、まさに「GDPショック・エピソード2」。ドル円は一時的に円高に振れた。
鬼門のSQ週の日経平均は84.21円高の18004.66円と2007年7月24日以来の18000円台に乗せて始まった。TOPIXもプラス。しかし18000円台は1分しかもたずに大台を割る。午前9時15分頃に18000円台に復帰して9時21分に18030円まで上昇するが、9時台後半は再び割り込む。10時前からあれよあれよと下落し10時4分にはマイナスに落ち、10時17分の17869円でようやく底を打つ。上海市場はマイナス、香港市場はプラスで始まる。日経平均はプラスになったりマイナスになったりしながら11時台はしっかりプラスに浮上。「プラスのままでは日銀砲が撃たれない」と思えば、前引け間際、その期待に応えるかのように下落するものの前引けは17921.29円で0.84円高。TOPIXも+0.53。「日銀砲」を誘うべく前引けをわずかなマイナスで止める絶妙な〃太刀さばき〃の「寸止め武蔵」は、手元がわずかに狂ってしまった。
為替のドル円が円安方向に戻し、後場は17960円を超えて高く再開するものの18000円台には戻れず、前日終値と40円高の間を行ったり来たりと低迷。午後1時台後半にはまたマイナスに落ちる。1時30分に11月の企業倒産が発表され15%減の736件という低水準。2時に11月の景気ウォッチャー調査の結果が発表され、現状判断DIは41.5で10月から2.5ポイント低下し2ヵ月連続の低下。50未満は4ヵ月続いている。先行き判断DIは44.0で10月から2.6ポイント低下。50未満は3ヵ月続いている。内閣府は「このところ回復に弱さがみられる。先行きについては物価上昇への懸念などがみられる」とし、10月にはあった「緩やかな回復が続いている」という表現を削除した。経済指標がさえず為替は少し円高方向。日経平均は2時台前半じりじり下落し17900円も割り込むが、終盤はプラスに浮上し、終値は15.19円高の17935.64円と小幅高ながら7日続伸し年初来高値を更新して終えた。日中値幅は161円。TOPIXは+1.91の1447.58で7日続伸し年初来高値を更新。売買高は21億株、売買代金は2兆4224億円だった。
東証1部の値上がり銘柄数は877で全体の47%、値下がり銘柄数は816で全体の44%を占めた。33業種別騰落率は18業種が上昇、15業種が下落。プラスセクター上位はゴム製品、非鉄金属、輸送用機器、パルプ・紙、食料品、サービスなど。マイナスセクター下位は鉱業、水産・農林、その他製品、保険、電気・ガス、陸運などだった。
日経平均採用225種は値上がり112銘柄、値下がり103銘柄。プラス寄与度1位は東京エレクトロン<8035>で+9円、2位は電通<4324>で+8円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-9円、2位は京セラ<6971>で-6円だった。
メガバンクはみずほ<8411>が0.3円安、傘下の資産運用会社の三菱UFJ投信、国際投信投資顧問を7月に合併させる方針を固めたと伝えられた三菱UFJ<8306>は序盤に年初来高値を更新しながら1.5円安、三井住友FG<8316>は50.5円高。新生銀行<8303>と三越伊勢丹HD<3099>、JCB(非上場)が共同で、日本で「ダイナース」カードを発行するシティグループ傘下のシティカードジャパンを買収すると報じられ、新生銀行は1円高、三越伊勢丹HDは値動きなし。山口FG<8418>傘下の山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行は来春、東京五輪のメイン会場に近い江東区豊洲に共同店舗を開くと報じられ山口FGは3円高で年初来高値更新。野村HD<8604>は傘下の野村信託銀行が4月から野村證券の顧客向けに遺言書の作成、執行などを扱う遺言信託業務に参入するというニュースがあり4.9円高だった。
ドル円121円台の円安進行で自動車大手を含む輸送用機器セクターは業種別騰落率第3位だった。トヨタ<7203>は国内2工場に約200億円を投資し、燃料電池車(FCV)「MIRAI」の年間生産能力を2015年末に現在の3倍に引き上げると報じられ116円高で年初来高値を更新し7日続伸。国内販売も輸出も両方見込む。このニュースが水素関連銘柄の株価を刺激し、岩谷産業<8088>は34円高、オーバル<7727>は22円高で値上がり率12位。ホンダ<7267>はクレディスイスがレーティングを引き下げ8円安とカヤの外。ホンダは、日本格付研究所(JCR)が発行体格付けを1段階引き下げたタカタ<7312>のエアバッグ以外のリコール問題も抱える。タカタは21円安だった。富士重工<7270>は53円高で年初来高値更新だがマツダ<7261>は18円安、日産<7201>は2.5円安。三菱自動車<7211>は1円高。タイの子会社で生産しトヨタにOEM供給と伝わったダイハツ<7262>は16円高だった。
シャープ<6753>は2010年に買収した太陽光発電関連の北米子会社リカレント・エナジーをカナダの太陽光パネル製造大手に300億円程度で売却する方向で最終調整に入ったと報じられ1円安。パナソニック<6752>は32円安、ソニー<6758>は87円安、東芝<6502>は3.8円安、NEC<6701>は3円安と電機大手は軒並み安。アルプス電気<6770>はみずほ証券がレーティングを引き下げ79円安。株価が高すぎるという評価。
重工メーカーに乗り物の話題2件。三菱重工<7011>はジェット旅客機「MRJ」をパリ国際航空ショー直前の2015年5月29日に初飛行させると発表し売買高10位で12.3円高。成功させて商談にはずみをつける。川崎重工<7012>はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製の鉄道台車の実証試験を2015年にアメリカで行うニュースで売買高13位で18円高。年初来高値更新。鉄がCFRPに変わると車両が軽くなり省エネになる。
中堅・中小企業向け販売在庫管理システムを販売するアイル<3854>は、8~10月期決算は増収でも販管費が重しで営業減益で200円安。関西電力<9503>は「電気料金再値上げ申請へ」と報じられ6円安だった。鹿島<1812>は日本通運<9062>と組み、専用コンテナで汚染土壌を安全に輸送するシステムを構築して1円高。日本通運は12円高で年初来高値更新。前田建設工業<1824>は野村證券がレーティングと目標株価を引き上げて58円高で値上がり率13位。工事採算が改善し、リニア山梨実験線の実績があるのでリニア中央新幹線の工事受注も期待される。積水ハウス<1928>の2~10月期決算は、売上高は4%増、営業利益は13%増、純利益は10%増でいずれも過去最高を更新。戸建住宅も賃貸住宅も比較的単価が高い商品の売上が伸び利益率が改善したが利益確定売りに押され31円安。過去最高が並ぶ通期業績見通し、年間50円の配当見通しは据え置き。積水化学工業<4204>は介護事業のヘルシーサービスを買収し高齢者住宅の運営に参入すると報じられ1円高。同じ積水でもハウスではなく化学のほうの異業種進出。