お茶がもたらす静岡の長寿日本一 花王と静岡県立大が産学連携でメタボ防止策開発へ

2014年12月12日 08:48

 静岡県立大学と花王<4452>は9日、新たに産学連携講座を設立し、共同研究を開始すると発表した。この講座の目的は、「肥満等のメタボリックシンドロームに対する茶カテキンをはじめとするポリフェノール類の作用機構や、老化に伴う筋肉や脳機能の低下に対する有効性等を明らかにすること」である。

 厚生労働省によると、男女平均年73.53歳で健康長寿日本一(平成22年)であり、さらにメタボリックシンドロームに該当する人の割合が12.9%(平成23年)と、日本一少ないことが知られている。この要因として、緑茶の飲用量が多いことが挙げられている。このような背景のもとで、静岡県立大学では生活習慣病や老化予防に対する緑茶の効能について多くの研究実績があり、現在までに230報以上の研究成果を報告しているという。

 一方、花王は、緑茶に多く含まれる成分である茶カテキンによる体脂肪低減効果を中心に多くの研究が行われており、40報を超える研究論文が報告され、茶カテキン関連では約360件の特許が出願されている。

 今回、お互いの実績から産学連携で両者が協力することとなった。静岡県立大学の食品栄養科学部棟内に産学連携講座を新たに設置し、花王より派遣される研究員4名(常駐1名、非常駐3名)、静岡県立大学食品栄養科学部・薬学部の教員4名および新たに雇用された研究員1名が共同研究を推進する。研究期間は、2014年10月1日~2017年9月30日までの3年間の予定で、定期的に研究進捗状況を確認しながら、研究を進めていく方針だ。

 共同研究よって新たに得られた成果は、両者共同で積極的に世界へ発信し、茶飲料をはじめ、機能性食品の更なる開発に貢献するとともに、生活習慣病の発症予防や筋肉・脳の老化に伴う機能低下の解明等に積極的に寄与していきたいと考えているとしている。(編集担当:慶尾六郎)