日本は今、未曾有の高齢社会に突入している。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の人口が減少しているのに反比例して、65歳以上の高齢化率は上昇の一途が見込まれており、2025年には約30%、2060年には約40%にまで達すると見られている。
いつまでも健康で若々しくありたいと願うのは、本人はもちろんのこと、共に暮らす家族も同様だ。しかし、残念なことに高齢化が進むに連れて、寝たきりになってしまう人も増えており、厚生労働省の国民生活基礎調査によると、少なくとも65歳以上の高齢者約31万人以上が寝たきりの介護生活を送っていることが分かっている。
また、同調査では、寝たきり原因の第一位は脳血管疾患、第二位が骨折や転倒となっている。脳血管疾患はともかく、骨折や転倒をきっかけに寝たきりになってしまうのは、高齢者ならではの原因といえよう。その背景には、骨・関節・筋肉など運動器官の働きが衰えてしまうことが挙げられる。
立ったり座ったり、階段の昇降など、日常生活の動作がスムーズに出来なくなる状態をロコモティブシンドロームというが、日本整形外科学会によると、このロコモティブシンドロームの予備群も含めた国内患者数の推計値は4,700万人にものぼるという。
また、財団法人骨粗鬆症財団の推定によると、骨粗鬆症患者はおよそ1100万人。しかし骨粗鬆症は、「健康」「予備軍」「骨粗鬆症」の棲み分けが難しいので、グレーゾーンの人まで含めると2000万人にまで達するのではないかとも言われている。この数値だけをみると、65歳以上の寝たきりが31万人程度で収まっていることが奇跡にも思えてくる。
高齢者はもちろん、できれば若いうちから骨のケアを進めていきたいものだ。骨を丈夫にするにはカルシウムの摂取が必要だが、そもそも日本人はカルシウムが不足しがちだといわれている。その原因の一つに、日本人の飲料水がカルシウムやマグネシウムなどの金属イオン含有量が少ない軟水だということがあげられる。昔から、カルシウム不足には牛乳を薦められることが多いが、カルシウムをしっかり摂っていても、それをサポートしてくれるマグネシウムが不足すれば、カルシウムが骨から溶け出したり、カルシウムが十分に働かなかったりするので、結果的に不足しているのと同じ状態になるという。そこで最近はサプリメントなどでこれらを補おうとする人も増えているようだ。
そんな中、ミツバチ産品を製造販売する株式会社山田養蜂場から、大変興味深い研究報告が発表された。山田養蜂場では、ローヤルゼリーをはじめ、様々なミツバチ産品について研究を行っているが、この度、骨や軟骨等の構成成分であるグルコサミンとコンドロイチンに、同社の酵素分解ローヤルゼリーを組み合わせることで、新しい骨を作る骨芽細胞の分化が相乗的に促進され、骨の健康維持に役立つ可能性を見出したという。
ローヤルゼリーについては、これまでに更年期障害やメタボリックシンドローム、耳鳴り、高血圧改善作用、更年期周辺女性の肩こりなどに対する作用が明らかにされているが、今回の研究結果によって、また新たな健康効果が発見されたことになる。
関節、筋肉、骨の健康を総合的に維持することは、老後を健康的に過ごすためには非常に重要だ。転倒や骨折をきっかけに、思いがけず寝たきりになってしまうようなことのないよう、若いうちから骨の健康維持には充分気をつけたいものだ。(編集担当:藤原伊織)