【日経平均】今週の半値戻しに迫り114円高でまぼろしのSQ

2014年12月12日 20:17

 昭和電工<4004>は後場に12月期の業績見通しを発表。売上高を8950億円から8850億円に、純利益を70億円から50億円に下方修正し売買高5位の売り浴びせで17円安、値下がり率1位。原油安でナフサやエチレンの価格が下落したため。日本曹達<4041>はクレディスイスが目標株価を引き上げて31円高。主力商品の飼料添加物メチオニンが好調という。農薬のクミアイ化学工業<4996>は10月期の営業利益が3割増の30億円弱と報じられ9円高。除草剤が好調という。医薬品のアステラス製薬<4503>は34円高。そーせいG<4565>は東京農工大発のバイオベンチャーJITSUBOを子会社化してペプチド医薬品領域へ参入と報じられ100円高。花王<4452>は静岡県立大とポリフェノールの共同研究に着手と報じられ3日ぶりに反発し166円高で年初来高値更新。メタボやアンチエイジングの成果が期待される。

 住友商事<8053>はインドネシアで4万KWの地熱発電所の建設を約100億円で受注したが5円安。インドネシアは世界有数の火山国で地熱発電量を今後3倍にする計画。政府目標は2000万人で順調に増える訪日外国人の受け皿になる東京都内のホテルに大和ハウス工業<1925>系のダイワロイヤル、「ドーミーイン」の共立メンテナンス<9616>が積極参入。大和ハウスは12円高、共立メンテナンスは70円高。東京五輪までに現在の1割増の約1万室が増える見通し。

 西武HD<9024>は前日、赤坂プリンスホテル新館跡の「東京ガーデンテラス」の名称と計画概要を発表。それを好感され53円高で再上場来高値を更新した。乾汽船<9308>は10月の旧乾汽船、旧イヌイ倉庫の経営統合の負ののれん代で特別利益を97億円計上し、3月期の最終利益が67.8倍の105億7600万円になる見込みと発表して2円高。スカイマーク<9204>について国土交通省が、JAL<9201>、ANAHD<9202>との共同運航を5年限りとするように求めスカイマークは8円安、JALは45円高、ANAHDは3.4円安。現在の航空行政上「大手の軍門に降る」というイメージはまずいらしく、経営再建が軌道に乗ればスカイマークは再び「孤高のエアライン」に戻るのか?

 ゲーム関連では〃影武者〃が脚光を浴びる。オルトプラス<3672>がバンダイナムコHD<7832>の新作ゲーム『サモンナイト・メモリーズ』の開発に関与している思惑でストップ高の150円高で値上がり率1位。バンダイナムコは5円高。中世の幻想と廿世紀モダニズムがコラボしたファンタジー。日本一ソフトウエア<3851>は、開発を担当してブロッコリー<2706>から発売される『うたの☆プリンスさまっ♪』をアナリストが高く評価し一時ストップ高の110円高。ブロッコリーも102円高。女の子向けの音楽つき恋愛アドベンチャーゲーム。JPモルガンがレーティングを引き上げたDeNA<2432>は104円高で値上がり率4位だった。

 新興市場は、日経ジャスダック平均は0.14%上昇したが東証マザーズ指数は0.74%下落。ブイキューブ<3681>とディア・ライフ<3245>はともに12月31日時点の株主を対象に1株を2株に分割する株式分割を実施すると発表し、ブイキューブは155円高、ディア・ライフは149円高で年初来高値更新。マザーズに10月に上場したオプティム<3694>は、中国のハイセンスと共同でシニア向け高級スマホを開発し中国で発売と報じられ1040円高。MCJ<6670>は子会社のユニットコムがFXトレード専用「外為パソコン」を発売すると発表したが41円安。同社からは株式トレード専用の「KABUパソ」も発売されている。

 新規IPOは1銘柄。東証マザーズにIT系を中心にしたスキルを持つプロのお仕事のマッチングサイト「クラウドワークス」を運営するクラウドワークス<3900>が新規上場。公開価格は760円に対し11時23分、73.2%高い1316円の初値がついた。終値は1041円。前日初値がつかなかったビーロット<3452>はこの日もつかず、公開価格2010円の5.29倍の10640円の買い気配で終了。同じく前日初値がつかなかった弁護士ドットコム<6027>は、公開価格1230円に対し10時13分、3.15倍の3880円の初値がついた。終値は3600円だった。

 この日の主役はキヤノン。前日、12月期の期末配当を前年同期から20円増配して85円になる見込みと発表した。65円の中間配当と合わせると年間配当は20円増配の150円になる。それを好感して株価は前場4004円まで上昇して年初来高値を更新し、昨年5月以来の4000円台タッチ。終値は147.5円高の3954.5円だった。キヤノンの12月期の予想EPS(1株当たり当期純利益)は会社予想では223.75円で、年間配当が150円なら配当性向は67%で純利益の3分の2が配当に回る計算。もっとも、キヤノンは自社株買いを実施しているので、それも含めた総配分性向(総還元性向)はなんと130%をオーバーする。2期連続増収増益でキャッシュフロー経営、ROE経営、株主還元の超優等生だ。
(編集担当:寺尾淳)