10日のNYダウは268ドルの大幅安で3日続落。5日は18000ドル寸前まで達していたが一時17508ドルまで下落した。NASDAQも82ポイント下落。原因は「中国とギリシャ」だけではない。一時は「ガソリン安で個人消費が活発になる」と好材料視された原油安も60ドルそこそこまで下がると悪材料に変わる。石油産業は基幹産業で雇用者数も多い上に、期待のシェールガス・オイル開発の採算も不安視される。エクソンモービルは3.0%、シェブロンは2.0%、コノコは2.2%下落。原油安メリットがあるはずのボーイングも3.9%下げ、金融も小売も軟調でダウ30種の上昇はナイキだけ。11日朝方の為替レートはドル円が117円台後半、ユーロ円が146円台後半で、ドル安円高が急進していた。
日経平均先物はシカゴで一時17050円まで下げ、CME先物清算値は17165円。取引時間前に発表された10月の第三次産業活動指数は前月比0.2%減、10月の機械受注は前月比6.4%減で市場予測を大きく下回った。日経平均は232.09円安の17180.49円で始まる。TOPIXも大幅安で1400を割り込んでスタート。17200円台をすぐに回復したのも束の間、午前9時台前半のうちに17100円も割り込み、9時29分に17043円まで下落し17000円割れ寸前に。前日、日銀はETFを買い入れず「日銀砲」を撃たなかった。日銀といえどやはり御身大切で、「下げがあんまりきついとムダ撃ちになるから助けないこともある」「日銀砲が撃たれなかったからボロボロの400円安になった」という事実の重みが、この厳しい下落を招いたのだろうか?
とはいえ、9時台後半からは押し目買いのチャンスとみて個人投資家あたりの買い戻しが入り、傷を癒すかのように徐々に上昇。9時台のうちに17100円台、10時台に17200円を回復する。上海も香港もマイナスで始まるが日経平均は11時に17289円の高値をつけた。11月の東京都心部オフィス空室率は10月から0.05ポイント低下して5.55%で、アベノミクスのもとで改善は途切れない。11時台は為替のドル円も円安方向に戻して118円台になり、日経平均も17200円台で落ち着いて、前引けは17247円だった。
後場は下げて17200円割れで再開するがすぐ17200円台に戻す。その後、下げ渋りで安定した基調は変わらないが17300円台に戻らないままに午後2時台まで経過する。終盤の大引け前に17300円に接近する時間帯があったが終値は155.18円安の17257.40円で3日続落した。総選挙の解散から投票前日までの日経平均の騰落が過去14回で13勝1敗という有名な「総選挙アノマリー」があるが、今回の解散日の11月21日の終値17357円を上回るには、メジャーSQ日の12日の終値が100円高を超える必要がある。日中値幅は246円。TOPIXは-9.79の1397.04で最後まで1400台に戻れず3日続落した。売買高は22億株、売買代金は2兆5128億円だった。
値上がり銘柄は564、値下がり銘柄は1183で全体の64%を占めた。2業種が値上がりし31業種が値下がり。プラスセクターは空運、陸運。マイナスセクターで下落幅が小さいのは保険、水産・農林、化学工業、海運など。下落幅が大きいのは鉄鋼、銀行、不動産、金属製品、医薬品、ガラス・土石などだった。
日経平均採用225種は値上がり49銘柄、値下がり171銘柄。プラス寄与度1位はTDK<6762>、2位は信越化学<4063>でともに+2円。マイナス寄与度1~3位はファーストリテイリング<9983>、ソフトバンク<9984>、ファナック<6954>の順番で「御三家」が揃い踏みし合計-42円だった。
銀行セクターは業種別騰落率ブービー賞と不振。メガバンクはみずほ<8411>1.4円安、三菱UFJ<8306>10.4円安、三井住友FG<8316>75円安。野村HD<8604>は8.4円安だった。連日の円高で自動車大手は軟調で、中国の新車販売の伸びが鈍化したニュースも株価を冷やす。トヨタ<7203>とホンダ<7267>は仲良く42円安、マツダ<7261>は20.5円安、日産<7201>は3.5円安だったが、富士重工<7270>は29円高と逆行高していた。ブリヂストン<5108>は新車用タイヤ需要が好調な上に原油安で原料の合成ゴムの価格が低下して採算が大幅に改善。経常利益が従来予測を上回る4800億円で過去最高という業績観測記事が出たが、市場予想の4864億円に届かず33.5円安。
電機大手は、ソニー<6758>は40円安、パナソニック<6752>は27円安、東芝<6502>は11.6円安、NEC<6701>は2円安だったが、日立<6501>は10.6円高と逆行高。シャープ<6753>も1円高だった。外国人投資家に人気がある銘柄が前場から逆行高し、信越化学は54円高、日本電産<6594>は1円高、日東電工<6988>は11月の月次動向が16%増と好調で45円高と買われていた。格安スマホの日本通信<9424>は「日本中どこでも03で始まるスマホ番号」を13日から先行1000台限定で販売開始と発表し10円高。本社が東京23区にあるというだけで信用されるのを逆手に取った商法。03だけで045や052や06はない。和装や茶道具の店などで075の需要はありそうか?
井関農機<6310>は2015年10月、茨城県つくばみらい市に稲の「疎植」など栽培技術や、情報通信技術を活用した農機の研究所を開設するニュースがあったが3円安で年初来安値更新。農業再生は成長戦略の重要項目だが、ハイテクの力で低コストで採算のとれる農業を目指す。建機レンタルのカナモト<9678>は前日に10月期本決算を発表し、営業利益は44%の増益で従来予想の160億円を上振れたが、今期は3%増益の170億円で200億円超の市場予測を下回り、弱気の見通しを問題視され375円安で値下がり率2位。
原油安を受けて2月に電気料金を値下げする話題の一方で、電力大手5社の太陽光発電からの電力受け入れ容量が大幅に不足という報道もあった。特に不足する九州電力<9508>は6円高、東北電力<9506>は8円安。それ以外の北海道電力<9509>は9円高、四国電力<9507>は13円安、沖縄電力<9511>は65円安だった。