ベネッセ20億円の赤字で300人リストラの原因は?

2014年12月14日 19:39

 ベネッセコーポレーション<9783>が本社、関連会社を合わせた全部門から300人の希望退職者を募集していることが分かった。これは1995年の創業以来初の実質的なリストラであり、経営体制のスリム化が進められる様子である。

 最大2070万人の子供や保護者の氏名、住所、電話番号、性別、生年月日などの顧客情報を流出した事件は記憶に新しいことであるが、それによる波紋が予想よりも大きく広がり、2014年4月~9月の連結最終損益で20億円超の赤字になるとし、同時に300人の人員削減を行うと発表した。損害賠償費や会員情報流出事件への対応費など特別費用が大きくかさんだのが原因の一つとしてあげられるであろう。300人という数字はコスト削減の意味合いとしては少ない数字にも思えるが正社員約2万人という事情を考えると約1.5%のリストラであり、思い切った判断がうかがえる。

 もともとの事件の発端は顧客の個人情報を派遣社員が不正に持ち出したのが始まりであったが、その管理体制にも問題があったようだ。集めた顧客情報の運用や保守管理をグループ企業のシンフォームに委託し、さらにその業務を複数の外部業者に委託するという少々複雑な構造になっており、末端まで徹底した管理下には置かれていない様子であった。今回の件で同社はダイレクトメール(DM)中心の勧誘手法をやめ、教育業界が敬遠していたITの活用に踏み出す模様だ。以前からDMでの会員数の伸び悩みが浮かび上がっていたが、偶然にも今回の流出事件がITの早期導入を促し、構造改革を早める形となった。

 退職者には15年3月に特別退職金が支給され、希望者には転職支援などのサポートをする方針を示した。会計ではリストラ関連費用として約50億円が特別損失としてすでに計上されているようである。希望退職者を募るといえども、我先に退職する人などまずいないだろう。リストラを背景にパワハラなどが横行するということはないと信じたい。(編集担当:久保田雄城)