ベネッセ、事件後の対応まずさ浮き彫りに 経産省が再発防止策の是正求める

2014年10月11日 20:35

画像・アベノミクスは中小

ベネッセは顧客情報流出事件に関する再発防止策を経産省に提出したが、責任所在が不明確だとして再提出を求められた。「お詫び」として顧客に配布する金券についても、同社への寄付を提案するなど、対応には多くの疑問を感じる。

 顧客情報の漏えい事件を起こしたベネッセコーポレーションは、9月17日に経済産業省に再発防止策を提出した。だが9月26日、経産省はその内容が不十分だとして是正を求める勧告を出した。指摘があったのは、顧客情報の管理・取り扱いにおいての責任所在が不明確なことや、対策の実施時期に具体性が欠けている点だ。

 17日に提出した再発防止策の内容では、顧客情報のデータベースについて、ベネッセと親会社のベネッセホールディングス<9783>、情報セキュリティー会社との合弁会社の3社がそれぞれの役割に応じて責任を負うとしていた。だが経産省は責任を3社に分けることは適切ではないとし、全体責任をどこが負うのかを明確化するよう求めた。

 小渕優子経産相は26日の閣議後の会見で「顧客情報流出件数は最初の発表時より増えており、国民の不安を増加させた。再発防止のためにしっかりと取り組んでほしい」とコメントした。ベネッセコーポレーションの小林仁社長は「勧告に真摯に従い再発防止に最善を図る」と述べた。ベネッセは10月24日までに再発防止策を経産省に再提出する予定だ。

 ベネッセの顧客情報流出事件は今年7月に発覚し、データ管理委託先の派遣社員であった元システムエンジニアの男が逮捕された。会社のパソコンと私物のスマートフォンをUSBケーブルでつなぎ、顧客情報をスマホに内蔵されているSDカードに移し取って持ち出したという。およそ1年の間に20回、2億300万件ものデータを名簿業者に売却し、約400万円を利益として受け取っていた。漏えいが確認されているのは現在約3,500万件にものぼる。

 再発防止策の不備を指摘されたベネッセだが、被害に遭った顧客に対する「お詫び」についても疑問の声が上がっている。500円分のアマゾンギフト券や図書カードを配布するという対応に加えて、「ベネッセこども基金」を設立し、金券を受け取る代わりに500円を同社に寄付することができるという選択を提示した。基金の目的は、経済的理由や病気等を抱える子どもの学習や進学を支援するとしているが、しかしそれを「お詫び」の形として提案するには違和感を覚える。一部では「ベネッセにお金を戻すようなシステム」という批判的意見もあり、もろもろの対応のまずさが浮き彫りとなってしまったようだ。(編集担当:久保田雄城)