【日経平均】円安を味方に高値引け411円高17600円台回復

2014年12月19日 20:28

 18日のNYダウは421ドル高で連日の今年最大の上昇。上げ幅は3年1ヵ月ぶりの大きさだった。NASDAQ総合指数も104ポイントと3ケタ上昇。「利上げはまだ先」というFOMCの効果がアジア、ヨーロッパ市場をリスクオン・全面高にして地球を周回。新規失業保険申請件数は市場予測を上回る改善を示し、フィラデルフィア連銀製造業景況感指数は低下したがCB景気先行総合指数が市場予測を上回る伸びでそれをカバーした。原油先物市場が反落しても、ロシアのプーチン大統領が「低迷脱却まで2年かかる」と言っても、ギリシャの国会が大統領を選出できなくても反応薄。好決算を発表したオラクルは10.2%の大幅上昇。IBMが3.3%、シスコシステムズが3.0%、マイクロソフトが3.9%それぞれ上昇するなどIT・ハイテク系は強い。ゴールドマンサックスも3.2%上昇でダウ30種は全銘柄プラスだった。19日朝方の為替レートはドル円は119円近辺で円安、ユーロ円は146円台前半で円高方向に振れた。

 CME先物清算値は17540円。日経平均は300.96円高の17511.01円で始まり、11日の「まぼろしのSQ値」17281円、前週末12日の終値17371円、前日の25日移動平均17404円を一気にゴボウ抜きし、連日の大マド開け。TOPIXも大幅高だが1400台にあと一歩及ばない。日経平均はすぐ17500円割れするが、先物が先行して現物の225種に値がつくのを待つ形で数分の間に17500円台に乗せ、TOPIXは1400台に乗せた。9時38分に17551円の高値を取った後は17500~17540円で安定した値動き。10時台に17500円を割り込み10時17分に15471円の安値をつけるが、上海総合指数がマイナス、香港ハンセン指数がプラスで始まると17500円台に戻る。11時台は水準を少し上げ、前引けは17540円で前場は上下80円の幅で動いた。

 昼休みに為替のドル円は119円台にタッチ。後場開始直前、前日から開かれていた日銀の金融政策決定会合の結果が出て金融政策の現状維持を多数決で決めた。反対1は木内登英政策委員で「反逆のカリスマ」健在。そんな人もいないと面白くない。後場は上げ幅を縮小して始まるが、すぐに反転して午後0時17552円の高値を取るものの、そこまで。この高値圏では「日銀砲」も撃たれず、「利益確定売りの金曜日」ではなかなか上値を追いにくい? それでも1時台になると日銀会合の結果を受けた円安進行を味方に上昇して17600円に迫り1時45分、一時的に17600円にタッチ。11月の全国百貨店売上高は1.0%減で8ヵ月連続のマイナスで、プラス転換はならなかった。2時台も終盤になると2時48分に17607円をマークし、大引けではさらに上げて終値は411.35円高の17621.40円で高値引け。魔がさしたような悪夢の月曜、火曜の後に3日続伸して3勝2敗、前週末12日終値から249.82円上昇して今週の取引を終えた。ハッピーエンドで終わりよければ全て良し? 日中値幅は150円。TOPIXも+33.29の1409.61と続伸して高値引けし1400の大台に乗せた。売買高は27億株、売買代金は2兆8846億円。

 東証1部の値上がり銘柄数は1575で全体の84%を占めた。値下がり銘柄数は200。33業種別騰落率は上昇が32業種で下落は1業種のみ。プラスセクターの上位は不動産、証券、輸送用機器、銀行、その他金融、保険など。下位は空運、倉庫、石油・石炭、電気・ガス、建設など。マイナスのセクターは水産・農林だった。

 日経平均採用225種は値上がり206銘柄、値下がり15銘柄。プラス寄与度1~4位はファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>、KDDI<9433>、ソフトバンク<9984>の順番に「日経平均寄与度四天王」が勢揃い。合計寄与度は+104円で値上がり幅の4分の1を占めた。マイナス寄与度1位は塩野義製薬<4507>で-2円、2位はヤマトHD<9064>で-1円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>は4.1円高、三菱UFJ<8306>は27.5円高、三井住友FG<8316>は172.5円高。野村HD<8604>は21.1円高で証券セクターは業種別騰落率第2位だった。

 輸送用機器セクターは業種別騰落率第3位で、自動車大手のトヨタ<7203>は312円高、ホンダ<7267>は85.5円高、富士重工<7270>は102円高、マツダ<7261>は98.5円高、日産<7201>は24.5円高。三菱自動車<7211>はJPモルガンが新規に投資判断をつけ、レーティングが「中立」でも目標株価が1180円とやや高かったので65円高で値上がり率13位になった。トヨタグループのアイシン精機<7259>、トヨタ紡織<3116>、シロキ工業<7243>、トヨタ車体は、乗用車向けシート生産を早ければ2016年にトヨタ紡織に統合する方針を固めた。ブレーキに続きシートも生産を集約し、グループの競争力を強化する。アイシン精機は95円高、トヨタ紡織は85円高、シロキ工業は13円高と買われていた。

 電機大手は高安まちまち。パナソニック<6752>は19円高、日立<6501>は33.1円高、東芝<6502>は4.4円高、富士通<6702>は20.5円高だがNEC<6701>は1円安。シャープ<6753>は液晶価格下落、中国景気の減速リスクを問題にされUBSが目標株価を引き下げ1円安で6日続落。ソニー<6758>は、ソニー・ピクチャーズの新作映画がテロ予告を受けた問題で公開中止を決めたこともあり、32円安で3日ぶりに反落。

 東京エレクトロン<8035>は511円高で年初来高値を更新して値上がり率14位。佐鳥電機<7420>は5月期の通期経常利益見通しを16.2億円から21億円に上方修正して38円高で年初来高値更新。セイコーHD<8050>は訪日外国人の間で高級腕時計「グランドセイコー」「アストロン」が売れている話で58円高で値上がり率3位。データセンター運営のビットアイル<3811>は、いちよし経研がレーティングと目標株価を引き上げて29円高で3日続伸し値上がり率10位。約170億円で国内拠点の増強に乗り出す三井造船<7003>は4円高。港湾クレーンの生産能力を約7割増やし、休止中のドックを再開して受注増に備えるという。

 経済産業省は、企業が太陽光発電でつくった電気を電力会社が買い取る価格を3年連続で引き下げ、2012年度は40円だったのが2015年度は1キロワット時あたり20円台まで下げられる見通しと報じられた。おまけに電力会社の買い取り義務も外すという。「ソーラー・冬の時代」本格到来で太陽光発電関連のサニックス<4651>は41円安で年初来安値を更新し値下がり率2位。1月から太陽光発電の買い取り手続きを再開する九州電力<9508>は7円高、東北電力<9506>は23円高だった。東京に水素ステーションをオープンさせた東京ガス<9531>は15.4円高。水素ビジネスへの参入を好感されている。

 TYK(旧・東京窯業)<5363>は9円高で3日続伸。株主優待の拡充を発表し、3月31日時点で1000株以上保有の株主に1000円のQUOカードを進呈する。「ナルミのボーンチャイナ」買収を好感された石塚硝子<5204>はこの日も売買高2位と買われ23円高で値上がり率1位だった。JA系農薬メーカーのクミアイ化学<4996>は10月期本決算が増収増益で営業利益は24.9%増の26億2900万円と発表し21円高で年初来高値更新。主力の水稲用除草剤が伸びて過去最高益を更新した。2015年10月期の見通しは、営業利益は29.3%増の34億円、純利益は11%増の34億円で過去最高を見込み、1円増配する。