【日経平均】344円安と続落し約1ヵ月ぶりの17000円割れ

2014年12月16日 20:13

 15日のNYダウは99ドル安、NASDAQは48ポイント下落した。鉱工業生産指数は良かったが、NY原油先物市場が1バレル55ドル台まで下落してはとてもかなわない。石油産出国のロシアやインドネシア、メキシコの通貨は大幅に下落。ロシアからは通貨ルーブル防衛のために10.5%から17.0%に利上げするニュースまで入ってきた。中国の景気減速懸念、ギリシャの大統領選挙、16日からのFOMCの利上げ時期をめぐる思惑も加わって、リスクオフが世界をおおう。エネルギー関連株だけでなく自動車のような新興国市場で稼ぐ銘柄も安く、フォードは投資判断を引き下げられ4.7%下落、マイクロソフトは検索エンジン「Bing」がフェイスブックのサイトから外され0.6%下落、フェイスブックは1.1%下落。16日朝方の為替レートはドル円が117円台後半、ユーロ円が146円台後半で、リスク回避の円高の流れは止まらない。

 CME先物清算値は16705円。総選挙の結果については、自民党が公示前議席から4議席減らし、得票率も小選挙区では48%だが比例区では33%どまり。公明党の議席増で与党の議席が3分の2以上に達したものの、データ上は「自民党圧勝」とは言いにくい。「有権者が公明党に〃与党内野党〃を期待した」という解説もあったが、連立内閣とはそんなものではないはず。自民党が圧勝と言えないことが前日の大幅反落に拍車をかけたと言えるかどうかはわからないが、6日ぶりに374億円が撃ち込まれた「帰ってきた日銀砲」も、焼け石に水だった。

 日経平均は236.98円安の16862.42円と11月17日以来、1ヵ月ぶりに17000円を割り込んで始まる。TOPIXも大幅下落でスタート。午前9時7分に16895円の高値をつけるが16900円にはタッチできず、逆に10時台には一時16800円割れ。10時45分に中国のHSBC製造業PMIが発表され、49.5で7ヵ月ぶりに好・不況の節目の50を下回った。市場予測の49.8より悪く、香港ハンセン指数はマイナス幅をひろげたが、上海総合指数は一時的な下落をのみ込んでプラス。日経平均は一段安し、前引けは16774円だった。

 昼休みにドル円117円台前半、ユーロ円146円台前半まで円高が進行し、後場は少し下げて再開。午後1時2分に16714円の安値をつける。その後は一時的に16800円台にタッチする場面もあったが長続きせず、終盤には前日同様に売り込まれて終値は344.08円安の16755.32円で大幅続落。日中値幅は181円。TOPIXも-25.92の1353.37と大幅続落した。売買高は24億株、売買代金は2兆5568億円だった。

 値上がり銘柄は129、値下がり銘柄は1686で全体の91%を占める全面安。全業種がマイナスで、下落幅が小さいのは陸運、空運、保険、電気・ガス、金属製品、サービスなど。下落幅が大きいのはその他金融、食料品、海運、卸売、精密機器、その他製品などだった。

 日経平均採用225種は値上がり7銘柄、値下がり217銘柄。プラス寄与度1位はJR東海<9022>、2位はフジクラ<5803>でともに+1円。マイナス寄与度1~3位はファナック<6954>、ソフトバンク<9984>、ファーストリテイリング<9983>の順に「御三家」合計で-60円、日経平均を押し下げた。

 メガバンクはみずほ<8411>は3.2円安、三菱UFJ<8306>は16.5円安、三井住友FG<8316>は112円安。野村HD<8604>は8.4円安だった。円高なので自動車大手は軒並み安。トヨタ<7203>は97円安、ホンダ<7267>は73.5円安、富士重工<7270>は90.5円安、マツダ<7261>は107.5円安、日産<7201>は27.5円安。電機大手もソニー<6758>は22円安、パナソニック<6752>は28円安、シャープ<6753>は6円安、日立<6501>は14.2円安、東芝<6502>は8.8円安、NEC<6701>は17円安。前日はプラスだった富士通<6702>も19.1円安と反落した。

 電線のフジクラは前日、1500万株、90億円上限の自社株買いを発表して32円高で値上がり率3位。前日は健闘していたゼネコン大手は反落。大成建設<1801>は15円安、大林組<1802>は10円安、清水建設<1803>は20円安、鹿島<1812>は10円安。

 食品スーパーの神戸物産<3038>は既存店売上高もプラスで10月期の営業利益が2.6倍の51億7800万円と発表。2015年10月期は営業利益見通しは17.8%増の61億円。年間配当予想は20円増配の50円。同時に1月31日時点の株主を対象とする1対2の株式分割と、60万株、30億円上限の自社株買いを実施すると発表し1230円高で年初来高値を更新し値上がり率2位。反応が素直でよろしい。イオン<8267>はクレディスイスがレーティングと目標株価を引き下げて76円安で値下がり率11位になった。

 リニア中央新幹線の起工式を翌日に控えたJR東海は、富士急行<9010>が小田急線に乗り入れていた特急「あさぎり」に使われた371系車両を購入して「フジサン特急」に使うと報じられ385円の大幅高で値上がり率13位。富士急行は21円安。JR東日本<9020>も連れ高し13円高で、陸運セクターはマイナスながら業種別騰落率トップ。空運セクターは業種別騰落率第2位。その主役はスカイマーク<9204>で、一時ストップ高の67円高で値上がり率1位、売買高4位に入った。JAL<9201>、ANAHD<9202>の両社と来春から共同運航を開始し、両社から経営支援を受けると報じられた。搭乗率が向上して売上高は年間約80億円増加すると見込まれる。JALは45円安、ANAHDは売買高12位に入り0.5円高だった。

 新興市場は、日経ジャスダック平均は1.31%下落、東証マザーズ指数は2.99%下落と大きく売り込まれた。

 この日の主役は、大幅続落、全面安ならせめて〃新人さん〃に期待を託して新規IPO。今週は14銘柄あり、そのうち5銘柄が集中するピークだった。東証マザーズに「U-NEXT」の映像・音楽配信サービス、ネット回線の販売、MVNOサービスを行うU-NEXT<9418>が新規上場。公開価格3000円に対し9時55分、31.6%高い3950円の初値がついた。ストップ高の高値引けで終値は4650円と上々の初日。東証マザーズに大阪市が本社で鍼灸接骨院の開業支援、運営指導、療養費請求代行などを行うアトラ<6029>が新規上場。公開価格740円に対し11時28分、77.4%高い1313円の初値がついた。終値は1013円。東証マザーズに医療情報統合システムの開発・製作・販売・保守業務などを行うメディカル・データ・ビジョン<3902>が新規上場。公開価格5180円に対し2時48分、2.36倍の12220円の初値がついた。終値は15220円と順調。ジャスダックに自動車産業に特化したオンライン情報サービス「自動車情報プラットフォーム」の運営を行うマークラインズ<3901>が新規上場。公開価格は1980円に対し11時29分、77.3%高い3510円の初値がついた。終値は2810円。東証2部に「鳥良」「磯丸水産」などの飲食店を運営するSFPダイニング<3198>が新規上場。公開価格は1940円に対し9時24分、16.5%安い1620円の初値がつき「公開価格>初値」の黒星。終値は1410円で初日は公開価格を上回れなかった。前日は久々に黒星がついたが、この日も連日の黒星。IPOした時が悪いのか? それとも銘柄が悪いのか? 地合いが悪いせいなのか、初値がつかず翌日に持ち越す銘柄もなかった。(編集担当:寺尾淳)