【日経平均】総選挙明けは悪材料ばかり続出して272円安

2014年12月15日 20:13

 前週末12日のNYダウは30種全滅で315ドルの大幅安。300ドルを超える下落は約2ヵ月ぶり。終値17280ドルはほぼ1ヵ月半ぶりの安値で、この時点で通貨単位を無視した数字上で日経平均を下回った。NASDAQ総合指数は54ポイント下落。要因はNYMEXのWTI原油先物が1バレル57ドル台まで下落したことで、ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予測よりも良かったことによる序盤のプラスを打ち消した。石油関連の株価はエクソンモービル2.9%、シェブロン2.4%、コノコ1.8%、ハリバートン0.8%など軒並み安だったが大崩壊というほどではなく、むしろ3.2%の化学のデュポン、3.5%のIBMのほうが下落幅が大きい。15日朝方の為替レートはドル円が118円台前半、ユーロ円が147円台前半で、ドル安円高が進行していた。

 12日のCME先物清算値は17135円。14日が投開票日の衆議院総選挙の結果、獲得議席数は自民党291、公明党35で与党は326と、法案が参議院で否決されても衆議院で再可決できる3分の2を超えた。民主党は海江田代表が議席を失っても73と健闘。共産党は21と躍進した。取引時間前に12月調査の日銀短観が発表され、大企業製造業の現状判断は+12ポイントで9月調査から1ポイント下がり2期ぶりに悪化した。

 総選挙の結果は、与党は圧勝しても自民党が報道各社の予測の300議席に届かなかった。それがどう影響するか注目の日経平均は260.09円安の17111.49円でCME清算値を下回って始まる。TOPIXも1400台に戻れず反落してスタート。開始後まもなく、オーストラリアのシドニーでイスラム過激派とみられるテロリストが銃を持って菓子店にたてこもる事件が発生。南半球から地政学的リスクまで飛び出して午前9時13分には17037円まで下げ、12日終値に比べて一時300円を超える下落を喫した。そこからV字回復して9時45分には17258円の高値をつけるが、押し目買いもその先が続かない。上海市場も香港市場もマイナスで始まる。日経平均も水準を下げて11時台は17100円台に。前引けは17144円だった。

 後場はほぼ前引けの水準で再開。一時的に17200円台を回復しても押し下げられて弱々しい値動き。1時台になるとジリジリ下げる。11月の首都圏・近畿圏新規マンション市場動向が発表され、首都圏は前年同月比33.3%減、近畿圏は10.9%増。終盤は17100円も割り込んで、終値は272.18円安の17099.40円で反落。日中値幅は221円。TOPIXも-20.36の1379.29と反落した。売買高は21億株、売買代金は2兆2602億円だった。

 東証1部の値上がり銘柄数は439、値下がり銘柄数は1378で全体の71%を占めた。33業種別騰落率は上昇2業種、下落31業種。プラスセクターは鉱業、小売業。マイナスセクターで下落幅は小さいのは食料品、水産・農林、石油・石炭、陸運など。大きいのは輸送用機器、保険、空運、ガラス・土石、電気・ガス、機械などだった。

 日経平均採用225種は値上がり27銘柄、値下がり192銘柄。プラス寄与度1位は花王<4452>、2位はアサヒGHD<2502>でともに+3円。マイナス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で-19円、2位は京セラ<6971>で-10円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>は2.8円安、三菱UFJ<8306>は5.3円安、三井住友FG<8316>は105.5円安。野村HD<8604>は10.1円安だった。輸送用機器セクターは業種別騰落率最下位で、自動車大手は軒並み安。トヨタ<7203>は189円安、ホンダ<7267>は22円安、富士重工<7270>は187円安、マツダ<7261>は141.5円安、日産<7201>は30.5円安。電機大手も同様でソニー<6758>は87.5円安、パナソニック<6752>は15.5円安、シャープ<6753>は3円安、日立<6501>は16.4円安、東芝<6502>は7.3円安、NEC<6701>は8円安。ところが富士通<6702>は自動車会社向けに国内初の水素ステーション情報管理サービスの運用を開始するという材料が出て11.1円高と逆行高していた。

 マブチモーター<6592>は12月31日時点の株主を対象に1対2の株式分割を実施すると発表したが60円安。ITクラウド事業でコスト削減の効果をあげたサイバーリンクス<3683>は、12月期の通期営業利益見通しを4.6億円から6億円に上方修正。期末の配当予想を前回の11円40銭から13円に増額修正して71円高。東京電力<9501>は30円安で値下がり率8位。花王はJPモルガンが目標株価を引き上げ97.5円高で年初来高値更新。武田薬品<4502>はゴールドマンサックスが新規に「中立」のレーティングをつけて13円高だった。

 ドン・キホーテHD<8140>はメリルリンチが目標株価を引き上げ420円高で年初来高値を更新し値上がり率14位。セブン&アイHD<3382>も22円高と逆行高し、小売は2業種しかないプラスのセクターに入っていた。「女性活用」が公約の安倍内閣は、現状では1割強の企業、官庁の管理職の女性比率を2020年までに3割にする目標を掲げている。ローソン<2651>は、2014年度の中途採用に占める女性の割合が20~30%になると報じられ130円高。同じ記事で紹介されていた参天製薬<4536>は140円高。新卒から育成するのは時間がかかるので、中途採用で「即戦力」の女性を求めている。

 東京ドーム<9681>は2~10月期の営業利益が10.6%減の90億3100万円と発表。1月期の通期営業利益見通しの95億円に対する進捗率は95%もあるが通期の上方修正は見送って2円安。ゲーム・コンテンツ関連銘柄では、エイチーム<3662>は520円高で値上がり率2位。第1四半期の営業利益が4.4倍の4.9億円という好決算を素直に好感された。マーベラス<7844>は売買高5位、売買代金2位で223円安で値下がり率1位と派手だった。新興市場は日経ジャスダック平均は0.69%下落、東証マザーズ指数は1.13%下落した。

 新規IPOは1銘柄。東証1部に技術者派遣・請負事業を行うテクノプロHD<6028>が直接、新規上場した。公開価格1950円に対し9時9分、5.0%安い1852円の初値がついて黒星。終値は1915円。前週11日に上場し2日間初値がつかなかったビーロット<3452>は、公開価格2010円に対し9時、5.2%高い10500円の初値がついた。終値は13500円で高値引けと好調だった。

 この日の主役は建設セクター。ゼネコン大手は、与党圧勝による補正予算の執行期待が再燃して逆行高する銘柄が多かった。大成建設<1801>は売買高15位で4円高、大林組<1802>は値動きなし、清水建設<1803>は6円高、鹿島<1812>は1円高。もっとも、こんな時には必ず売買高ランキングに顔を出す中堅建設会社は、三井住友建設<1821>は6位に入ったが値動きなし。7円安の鉄建<1815>、1円安の大豊建設<1822>、7円安の飛島建設<1805>は、ランキング上位とは無縁だった。(編集担当:寺尾淳)