17日のNYダウは288ドル高と4日ぶりに大幅反発した。NASDAQも96ポイントの大幅上昇だった。注目のFOMCの声明文は利上げまで「considerable time(相当の期間をおく)」の表現そのままに、経済情勢の好転を「be patient(辛抱強く待つ)」という表現が付け加えられた。マーケットでは「FOMCは景気に配慮した」「利上げは遠のいた」と解釈され、発表後一気に100ドルを超える上昇をみせる場面もあった。イエレンFRB議長は記者会見で「利上げは4月以降」と示唆。だがpatientには「患者」という意味もある。急性リスクオフ症の根本原因の原油安は先物市場の反発は弱々しいもののエネルギー関連株は大幅反発。合併症の新興国通貨安はルーブルが対ドルでようやく安定・回復の兆しをみせた。しかし病状は予断を許さない。18日朝方の為替レートは、ドル円は118円台後半、ユーロ円は146円台半ばで、リスクオフの円買いの動きは収まっていた。
CME先物清算値は17185円。日経平均は323.22円高の17142.95円と前日高値の上に250円を超える大マドを開けて始まる。TOPIXも25ポイントを超える大幅高でスタート。午前9時台のうちに17200円台に乗せるが17250円には届かない。10時台は17200円前後の水準で小動き。前日までの、原油安やら新興国の通貨危機やら、アメリカの「4人の魔女(クアドラプルウィッチング)」やらが入り乱れてのリスクオフの波乱とはうって変わった平穏さで、FOMCは世界の金融マーケットの最重要イベントとはいえ、変わればこうも変わるもの。上海、香港をはじめアジア市場は順調に全面高で始まった。11時には17250円にもタッチして前引けは17247円で、前日比で428円も高くなった。
後場は前引けとほぼ同水準で再開し、午後0時38分に17274円の高値をつけるが、12日のSQ値17281円には届かない。しばらく17250円付近の水準を維持していたが、1時40分すぎには17200円割れ。その後は17200円をはさんで上に行ったり下に行ったりで、上値を追えるようなムードはなくなった。それが「日銀砲が撃たれない昼下がり」か? 為替のドル円も前場より少し円高方向に振れていた。終盤もアメリカの魔女はFRBの「白毛女」議長に懲らしめられたのかもう悪さをせず、大引けで17200円台を回復して終値は390.32円高の17210.05円と続伸した。日中値幅は138円。TOPIXは+24.31の1376.32でこちらは4日ぶり反発。売買高は27億株、売買代金は2兆8877億円だった。
値上がり銘柄は1608で全体の86%を占め、値下がり銘柄は169。全33セクターがプラスで、上位は倉庫、食料品、水産・農林、鉱業、石油・石炭、サービスなど。下位は繊維、化学工業、卸売、銀行、電気・ガス、証券などだった。
日経平均採用225種は値上がり211銘柄、値下がり12銘柄。プラス寄与度1位はファーストリテイリング<9983>で+64円、2位はファナック<6954>で+15円。マイナス寄与度1位は資生堂<4911>、2位は花王<4452>で、ともに-2円だった。
メガバンクはみずほ<8411>は0.3円安、三菱UFJ<8306>は5.9円高、三井住友FG<8316>は31円高。野村HD<8604>は3.9円高だった。前日より約2円の円安で自動車大手は好調。約3600億円分の自社株買い終了と発表したトヨタ<7203>は107円高。ホンダ<7267>は40円高、富士重工<7270>は101円高、マツダ<7261>は67.5円高、日産<7201>は9.5円高。電機大手はソニー<6758>は113.5円高、パナソニック<6752>は21円高、日立<6501>は8.9円高、東芝<6502>は3.3円高、NEC<6701>は5円高、富士通<6702>は2.9円高だったが、前日、関西電力<9503>の電気料金値上げに注文をつけたシャープ<6753>はメリルリンチが目標株価を引き下げたため2円安と逆行安し5日続落した。
東京電力<9501>は前日に通期業績見通しを発表し、経常利益は2.2倍の2270億円で2年連続の黒字。純利益は19%増の5210億円で2年連続で過去最高益を更新する見込みで売買高2位、売買代金6位に入り29円高で値上がり率16位。数土文夫会長は「1年間は値上げしない」と明言した。ほぼ同時刻に八木誠社長が値上げ申請の緊急記者会見を開いた関西電力は65円安で値下がり率4位。関西から関東に生産拠点をシフトする企業が続出するか?