憲法改正 賛否能力備えるのは「国民の義務」

2014年12月20日 11:23

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 連立政権合意の「憲法改正」項目では「改正された『憲法改正国民投票法』の施行を受け、憲法審査会の審議を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深める」としている。両党が憲法改正への世論形成に合意した。

 自民党、公明党の連立政権続投が決まった。両党による連立政権合意は「景気回復・経済再生」のほかに(1)地方創生・女性の活躍(2)社会保障と税の一体改革(3)東日本大震災からの復興と防災・減災対策(4)エネルギー・原発政策(5)積極的平和外交(6)選挙制度改革と定数削減(7)憲法改正の7項目。

 選挙期間中に安倍総理が憲法改正に触れたかどうか、選挙中の街頭演説で、私は聞いていない。が、自主憲法制定は自民党立党以来の悲願で、憲法改正を発議できる議席数(衆参ともに3分の2)を狙った選挙だったとの見方さえある。

 兎も角、護憲派の野党大物候補を狙い撃ちしたことからも、戦略的に、憲法改正環境づくりを国会の内と外で狙ったとの見方も外れた見方とはいえないだろう。

 連立政権合意の「憲法改正」項目では「改正された『憲法改正国民投票法』の施行を受け、憲法審査会の審議を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深める」としている。両党が憲法改正への世論形成に合意した。

 しかし、憲法について、自民党が『改憲』を目指しているのに対し、公明党は現行憲法に現況と将来を展望した『加憲』の姿勢で、現行憲法に対する捉え方や見直しの立ち位置が違う。

 今後、憲法9条(戦争の放棄)条項や国民の権利・義務関係など、それぞれの条項について議論が深まれば立ち位置の違いが鮮明になってくる。

 次世代の党から総選挙に出馬した田母神俊雄元航空幕僚長は「自公連立政権の中で、公明党は(憲法改正、国防軍構想、集団的自衛権の行使など、これら)安倍政権がやろうとしていることに基本的に反対だ。自公連立政権では日本を取り戻すことは無理と思っている。自公分離ができ、保守連合で初めて日本を取り戻すことができる」と主張した。

 田母神元幕僚長は「安倍・自民党内閣の『日本を取り戻す』考えに賛成している。そのために憲法を改正し、軍を取り戻すことが必要。集団的自衛権行使を容認することも必要だ」と主張した。

 自公の憲法に対する、9条に対する捉え方の違いを田母神元幕僚長が明確に語ったともいえる。公明党候補を当選させまいと太田昭宏国土交通大臣の選挙区で戦った経緯もある。田母神氏は今回の選挙に落選した。

 次世代、自民など保守勢力が憲法9条改正を目指す中で、その自民を支持したのは今回選挙(投票率過去最低52.66%)では1766万人。小選挙区では自民党は48%の得票率で76%の議席を獲得した。国民の声を国会議席に反映させる選挙制度改革が急がれている。

 安倍総理は、私たちは475議席の中で291議席を得る支持を得たと強調するのだろう。そして、憲法改正についても、今期に国会発議への環境づくりに専念することとなる。次期、参院選挙に照準を合わせ、自公で3分の2を目指すことになるのだろう。

 憲法9条を生かし、その下で国家の安全保障外交を展開する立ち位置にあるのは日本共産党、社民党や生活の党、民主党など。公明党は加憲の立場。維新の党は橋下徹共同代表が「9条の考えを堅持したうえで、平和は自ら汗を流し、努力して守っていかなければいけない。9条が今のままでいいとは思わない」と以前に語っているため改正の立ち位置に近いようだ。

 こうした流れの中で、隣国、韓国内で日本の憲法9条を来年度にノーベル平和賞にしようとめざす韓国の識者らが現れた。識者ら50人が「日本の憲法9条をノーベル平和賞に推薦する署名運動を始める」と18日にソウルで記者会見したという。

 毎日新聞によると「日本国内での平和憲法を守る動きと連携して、来年度のノーベル平和賞を目指す」としており「ノーベル平和賞が個人や団体を対象にしているため受賞の主体は改めて検討する」そうだが、平和憲法の下で暮らしている当事者の日本国民の一人として、今回の総選挙でも国民の間に『9条』が浮上しなかったこと自体、恥ずかしい思いがする。

 韓国の識者たちは「安倍内閣により解釈改憲で(憲法9条が)骨抜きにされる危機に直面している」と訴え「平和憲法が無力化されれば、朝鮮半島や東アジアの平和も脅かされる」と危機感を強くしている。

 日本の憲法を他国の国民が評価し、時の日本政府に守るよう間接的な運動展開をすること事態不思議な気もするが、日本国民にとっては自らの安全保障問題だけに、子子孫孫に影響する大きな転機になることも踏まえ、ひとり1人が学習し、自ら判断しうる能力を備えることが極めて重要な時期に入っている。そのことの認識をすべきなのだろう。

 憲法問題が北海道から沖縄まで日本中の全国民の暮らしの中で語られはじめ、それぞれがそれぞれの視点で語る、あるいは語れるレベルになることが重要だ。憲法を学び、賛否能力を備えるのは国民の義務との認識がひとり1人に求められている。(編集担当:森高龍二)