電子書籍市場は、スマートフォンやタブレットユーザーの増加などでユーザーは増加し、市場は拡大の一途をたどっている。2014年も順調に市場は拡大、雑誌や書籍・コミックのみならず専門書など新しいプラットフォームも登場し、急成長が続いた。
電子書籍検索サイトの運営および電子書籍検索用メタデータ・データベースの運用を手がける株式会社hon.jpが発表した日本国内における電子書籍・電子雑誌の推計配信タイトル数データによると、2014年12月時点で日本国内で配信が確認できる電子書籍・電子雑誌の総タイトル数は72万点だったという。
そのうちスマートフォン・タブレット・読書端末・PCなど従来の携帯電話以外のオープンで新たなプラットフォームで読めるものは68万点、とそれぞれ推計している。これらのうち書籍ISBNと関連づけられる、紙の書籍を電子化したものは約18万点だった。
13年と比べ、総配信タイトル数は18.3%増となった。また、新たなプラットフォーム向けの配信は51.1%増となったとしている。同社によれば、これは特定の端末向けのみに配信する作品が、あらゆるデバイスで閲覧できるよう整備されていることのあらわれだとしている。さらに、今後1~2年はこの傾向が続き、2016年には総タイトル数で120万作品規模に成長するものと見込んでいる。
この1年で目立って増加したのは、セルフパブリッシング(自費出版)で、同人サークルによる電子コミックも含めると約2万7,000点の新刊が配信された。その一方で人文科学や社会科学など1万点を超える専門書も電子化され、電子書籍のジャンルがより多様化していることが示されているとした。
これを裏付けるように、今回で第8回となる一般社団法人 日本電子出版協会(JEPA)が毎年、年末に発表している「JEPA電子出版アワード」では、JTBパブリッシングの電子書籍ストア「たびのたね」が大賞に選ばれた。これは旅に関する電子書籍を扱うジャンル特化型ストアである。つまり、hon.jpのいう専門書ストアである。また、デジタル・インフラ賞にはNTTドコモの「dマガジン」、スーパー・コンテンツ賞には集英社の「少年ジャンプ+」、エクセレント・サービス賞には大賞と同じくJTBパブリッシングの「たびのたね」、チャレンジ・マインド賞にはJコミ+赤松 健の「絶版マンガ図書館」、エキサイティング・ツール賞にはインプレスR&Dの「青空文庫POD」、選考委員特別賞には松島 智 の「BiB/i」、選考委員特別賞には国立国会図書館の「近代デジタルライブラリー」が選出されている。
このように、電子書籍は2014年も順調に急成長している。これは、配信側、ユーザー側ともにインフラが整備が進むとともに、読み手に「ディスプレイで読む」ということに対する抵抗が薄れてきたことでもあるのだろう。(編集担当:慶尾六郎)