日本の半導体産業は、韓国や台湾勢に圧され、国内メーカーは撤退、縮小が相次ぎ、惨憺たる状況が続いている。そして、2014年も暗いニュースが続いた。日本半導体の雄ルネサス エレクトロニクスが何度もリストラを敢行し、工場も売却した。さらに企業自体の売却もあった。
国内唯一のDRAM専業メーカーであったエルピーダメモリは13年7月 にMicron Technologyによって買収され、14年3月からマイクロン・メモリ・ジャパンとして活動している。これにより、日本からDRAMメーカーもなくなった。では、日本の半導体は本当に終わってしまったのだろうか。ところが、現在、残っている日本国籍のメーカー、ソニー、富士通セミコンダクター、ルネサス エレクトロニクス、東芝、ロームの動向を見ていくと必ずしもそうとは言えないことがわかる。
これらの各メーカーをみていくと、現在は業界の淘汰・再編が完了した時期とも言える。明るいニュースとしては、まず、東芝は四日市工場の第5棟の第1期棟において12年から量産を加速した。そして、13年月には第2期棟に着工、14年夏には稼動開始した。ソニーはCCD、CMOSイメージセンサ(CIS)生産能力の強化を進めている。さらに、満身創痍と思われていたルネサス エレクトロニクスも度重なるリストラが功を奏し、営業利益が黒字になり始めている。また、同社はマイコン製造向けに300mm ラインを稼働している。
世界半導体出荷統計(WSTS)は2014年12月に「2014年秋季半導体市場予測」を発表した。その中で日本の半導体市場については、今後穏やかな伸びが続くと予測している。前回の2014年春季市場予測では、2014年の日本の半導体市場は、円安による好調な輸出や内需の回復を背景として、円ベースで前年比+4.0%、市場規模約3兆5300億円となるものと予測した。しかし春季予測の後、4月から9月までは予測を越える成長を示したという。それを基に、12月の予測では日本の2014年の半導体市場は円ベースで前年比7.1%の成長を予測し、市場規模約3兆6400億円となるものと予測している。
また、2015年についても、0.4%増の約3兆6500億円、2016年は0.9増の約3兆6800億円となるものと予測している。さらにこれらの予測をもとに、2013年から2016年までの円ベースでの年平均成長率は+2.7%となるものと予測している。
このように、生き残ったメーカーで、これからは安定期に入ると推測される。事実、14年を振り返っても市場自体は穏やかに伸びている。今後もWSTSの予測のように穏やかに伸びていくと思われる。(編集担当:慶尾六郎)