東芝、SKハイニックスとの和解を発表

2014年12月23日 10:12

 電機メーカーの大手である東芝<6502>は半導体の研究データが韓国企業に漏えいされていた問題で、19日、韓国のSKハイニックスに対して提起していた民事訴訟にて両社が和解に至ったとの発表を行った。和解にともない、SKハイニックスは東芝に対して2億7800万米ドルの和解金を支払う。

 2014年3月、NANDフラッシュ技術の研究データが韓国の企業に不正に提供されたとして、不正競売防止法に基づき東芝はSKハイニックスに対して損害賠償などを求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起していた。研究データを不正にSKハイニックスに提供したのは、東芝の提携先の半導体メーカー「サンディスク」の元社員で、6年前にこの元社員がSKハイニックスに転職する際に持ち出されたとされている。そして東芝がこれに対してSKハイニックスと元社員に対して1090億円余りの賠償を求める訴えを起こしおり、11月に行われた裁判ではSKハイニックスは、元社員が不正に持ち出した東芝のデータにより製品の製造、販売をしているという事実はないと争う姿勢をとっていた。

 しかし東芝とSKハイニックスは裁判以外の場所で解決に向けた交渉を続けていたとのことで、東芝は今回のSKハイニックスと和解をきっかけに、次世代の半導体露光装置の候補とされる技術の共同開発を行う方針を示しており、東芝としては裁判を長期化させるよりも、技術進歩の速度が速い半導体事業においてSKハイニックスとの関係を早期に回復させた方が得策との判断を下したようだ。

 そして東芝は今後、SKハイニックスへの訴えを取り下げ、元社員に対する裁判のみを継続させる。また今回の和解発表に際して東芝は、「当社は、今後も事業競争力の源泉である技術の先進性を確保していくため、最善の情報漏洩防止体制の構築を図るとともに、不正競争行為に対しては断固たる措置を講じる方針です」とのコメントを述べている。

 企業にとって研究データは大切な財産であり、それを不正に持ち出されることは死活問題ともなりうる。そのため東芝のこの「不正競争行為に対しては断固たる措置を講じる」という姿勢は、特に電機メーカーであれば当然の方針であるといえるだろう。(編集担当:滝川幸平)