「ワークライフバランス」や余暇の充実が叫ばれるようになって久しいが、「仕事が第一」という人も少なくない。中でも50代の男性は、他の世代と比べて「仕事が生きがい」と感じる割合が高いことが、労働政策研究・研修機構の調査で分かった。
調査は2014年1月~2月にかけて、全国の20歳以上65歳以下の男女8000人を対象に実施。調査員が自宅を訪問し、質問紙を配布して後日回収した。有効回収率は57.2%で、回答者の就業率は77.8%となっている。性別にみると、男性の87.8%、女性の69.5%が就業していた。2010年と比べると、男性の就業率には変化がない一方、女性は3ポイント増えている。
働く人に「生きがいを感じること」について聞いたところ(複数回答)、「余暇・趣味」の割合が58.2%で最も高かった。次いで「家庭」が44.2%、「仕事」が32.6%で、全体として「余暇・趣味」や「家庭」を生きがいとする人が多数派だ。
「仕事が生きがい」とした人の属性をみると、性別では男性が33%、女性が32.2%で、それほど大きな違いはなかった。これが年代別では、「男性50代」が40.5%と最も高く、次いで男性60代(37.9%)、女性60代(37.8%)、女性30 代(33.4%)、女性40代(32.9%)、女性50代(31.9%)の順となっている。女性で「仕事」を生きがいと考える割合は増加傾向にあるが、男性の30代~40 代では、2010年調査よりも減少している(男性30代:前回35%→今回30.1%、男性40代:前回33.9%→今回 30.3%)。
特に30代の男性をみると、「仕事」を生きがいに選んだ人は30.3%と同世代の女性よりも少なかったのに対し、「余暇」を選んだ人は、どの性別・年代よりも多い6割に達した。働き盛りで、長時間労働に悩まされる世代でもある「30代男性」だが、実際は仕事にやりがいを感じている割合が他の男女世代よりも少なく、かつレジャーを重視する傾向にある。
もっとも、一番レジャーを重視しているのは20代の男女(それぞれ8割台と7割台)だが、男性30代は20代に次いで、仕事以外の趣味・余暇に「生きがい」を感じており、60代の割合とほぼ変わらない。30代男性の間では、「仕事一筋」だけではない、新たな価値観が広がりつつあるのかもしれない。(編集担当:北条かや)