2014年におけるゲーム市場の大きな話題といえば、やはりソニー・コンピュータエンタテインメントが2月22日に国内発売を開始した「プレイステーション4(PS4)」と、米マイクロソフトが9月4日に国内発売を開始した「Xbox One」だろう。14年のゲーム業界の話題は、この2社が発売した2ゲーム機に集中した感もあるが、しかし15年以降のゲーム市場の動向を考える上で、このコンピュータエンタテインメントと米マイクロソフト以外にも注目しなければいけないメーカーがある。それは、かつてゲーム市場の「王者」であり、家庭用ゲーム機の代名詞ともいえるメーカー任天堂<7974>である。
14年の2月に発表した4月~6月期の連結決算では、売上高は前年同期比8.4%ダウンの746億円、営業損益は前年同期の49億円赤字に続いて94億円の赤字、最終損益は前年同期の86億円黒字に対して99億円の赤字という結果であり、携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」の販売不振により業績を落とすこととなった任天堂だが、しかしその後同年10月には「ニンテンドー3DS」の新機種「Newニンテンドー3DS」を発売。3D機能を向上させたり、画面の明るさを自動調整するなどの機能を追加し、不振が続く「ニンテンドー3DSの持ち直しをはかった。
そして任天堂が同年10月に発表した9月中間連結決算の結果は売上高が前年同期比12.8%ダウンの1713億円、本業のもうけを示す営業損益が2億円の赤字であり、こうして4年連続で中間営業赤字となったものの、前年同期の232億円赤字よりもその赤字幅は大幅に縮小する結果となった。この赤字幅縮小に寄与したのは「Wii U」の売り上げに回復傾向が見られたことが大きく、販売台数は前年同期の2.4倍の112万台という結果であった。
さらに任天堂は12月にマリオなどの人気キャラクターのフィギュアとゲーム機を連動させることのできる「Amiibo(アミーボ)」を発売し、回復傾向のみられる「Wii U」、そして新機種「Newニンテンドー3DS」とともに、業績の立て直しのきっかけとしたい考えだ。
そして12月時点での任天堂の発表によれば、「大乱闘スマッシュブラザーズ」や「モンスターハンター4G」などの「ニンテンドー3DS」用ソフト4タイトルが、5ヶ月間でダブルミリオンを記録し、これは日本市場初のことであるとのこと。このように、一時期は大きく業績を落とした任天堂にも、復活の兆しは見え始めている。15年、この「兆し」をどう拡大させていくのか、その動向に注目したい。(編集担当:滝川幸平)