セブン&アイ・ホールディングスの収益体質がいい。昨年に続いて2014年度も過去最高益を達成する勢いだ。
12月19日付の日本経済新聞朝刊が「2014年3~11月期の連結営業利益は2500億円超となり、2年連続で同期間として最高益を更新したようだ」と報じたことで明らかになった。前年同期の2491億円を僅かだが上回るという。日本や米国でコンビニ事業が好調だった結果だという。売上高にあたる営業収益は4兆5000億円と7%程度増えたもよう。消費増税の影響が影を落としている小売業界でセブン&アイの強さが目立っている。セブン・イレブンの大量新規出店が売上に貢献、全体を押し上げている。
同社の国内コンビニ既存店売上高は、2014年11月まで28カ月連続で前年比アップを記録している。米国のコンビニも2011年に買収した店舗の改装効果で入店客が増加、収益もアップしている。これに円安効果が重なり利益が増加している。
セブン・イレブンの「新しさとスピードを持って打ち出してきた」と強調するクオリティ志向の商品戦略も見事に当たっている。淹れたてコーヒーの「セブンカフェ」の人気は高く、初期の予定計画の6億杯を7億杯に上方修正。10月からコーヒー豆の品質を更にアップさせて「すっきりした味わいに刷新」し、完全な人気定番商品に育った。
増税後に消費者が買い物の頻度を減らして、より高品質な商品を好むようになっている消費動向に合わせ、プライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」をリニューアルしたことなどが奏功した。具体的には、消費増税対策としてPB「セブンプレミアム」の商品リニューアルを進めたことなどがコンビニの好調につながったという。コンビニ事業の営業利益は約2100億円で過去最高を記録している。
一方、総合スーパー(GMS)のイトーヨーカ堂は苦戦している。増税前の駆け込み需要からの反動減や夏場の天候不順で客足が遠のいたという。消費者の支持が得られていない。
とは言え、2015年2月の通期予想で、セブン&アイHDの営業収益は、およそ9%増の6兆1300億円。営業利益は5%増の3560億円となる見通しで、いずれも過去最高となるもようだ。
株式市場でも「報道された業績は想定の範囲内で堅調なもの。今後は年明け以降に法人減税や賃上げといった追い風になる材料が出るなかで小売株全体を再評価する動きが市場に広がるかどうかが鍵になりそうだ」との見方が出ている。消費増税下での業績拡大を好感したセブン&アイ買いが入っているという。(編集担当:吉田恒)