業界4社の寡占が進むコンビニ業界の2014年を振り返る

2015年01月01日 17:12

 厳しい生存競争を強いられる小売業においても、特に競争が激しいコンビニ業界の2014年を振り返る。まずは売上高を確認しよう。業界大手4社が2014年に発表した売上高は次の通りである。セブンイレブン・ジャパン3.78兆円、ローソン1.95兆円、ファミリーマート1.72兆円、サークルKサンクス0.98兆円。各社とも、売上高において過去最高の規模であり、業界全体が拡大している。特に、2011年以降、大手スーパー等の撤退・縮小が相次ぎ、さらにコンビニ業界が銀行や他業界との連携を勧めた結果、それ以前の伸び率を上回るペースで上昇している。

 業界全体に占めるシェアについても、上位4社で85%を越えている。各社の売上高ベースのシェアはセブンイレブン・ジャパン38.3%、ローソン19.7%、ローソン17.4%、サークルKサンクス9.9%、その他14.6%である。10年前と比較し、大きくシェアを伸ばしているのがセブンイレブン・ジャパンで5ポイント以上の伸びだ。次いで4ポイント近い上昇を見せているファミリーマート。ローソンは微増、そして上位4社の中で唯一シェアを落としているのが、サークルKサンクスであり、その差は3ポイント近い。上位がシェアを伸ばした分、上位4社以外は6ポイント以上シェアを減らしている。今後もこの傾向が続くとすれば、いずれ4強状態からサークルKサンクスが脱落し、上位3社の寡占状態となる。

 その上位3社において、注目されているのが、業界第3位のファミリーマートである。ファミリーマートはジャパンネット銀行やゆうちょ銀行等の各社との提携だけでなく、「初音ミク」や「艦これ」といったポップカルチャーとのコラボレーションを勧め、若年層の集客に成功している。虎視眈々と業界2位の座を狙っているのだ。しかし、その達成を阻むのが、追われるローソンの好調。ローソンが10月に発表した中間営業利益は400億円に達し、8年連続の最高益更新を達成。また、同社が持つ流通ネットワークのシナジー効果を向上させる目的で、成城石井を買収した他、業界9位のポプラの株式を5%取得するなど、規模拡大を積極的に拡大している。業界3割のシェアを持つセブンイレブン・ジャパンも2年連続で営業利益を更新するなど好調であり、今後もしばらくの独走態勢は盤石に見える。

 ただ、各社とも、今後数年は団塊世代等シニア層のコンビニ利用の促進などを見込んでいるが、足下で長引く不況も日本経済は完全に脱したとはいえず、家計のひもは相変わらず厳しいままだ。コンビニ業界上位の各社についても、今後さらに異業種との連携などを加速させることも視野に、熾烈な競争を展開する事が予測される。(編集担当:八木新)