電子書籍は15年以降も順調拡大 18年度には2,790億円に

2015年01月08日 09:00

インプレス総合研究所が2014年7月に発表した「電子書籍ビジネス調査報告書2014」によると、日本の2013年度の電子書籍市場規模は前年比28.3%増の936億円、電子雑誌を合わせた電子出版市場は1,000億円超えたという。

増加の要因としては、13年度は2012年度にもまして、スマートフォンやタブレット、電子書籍専用端末といった新たなプラットフォーム向け電子書籍市場が急速に拡大しており、本格的な拡大期に入ったという。また、電子雑誌市場は77億円と推計され、電子雑誌を合わせた電子出版市場は1,013億円となり初めて1,000億円の大台を超えているとしている。

 また、新たなプラットフォーム向け電子書籍市場は2012年度から421億円増加(対前年比114.4%増)の789億円と推計している。スマートフォンやタブレットユーザーの増加やテレビCMも含めた電子書籍ストアによる積極的な広告宣伝活動による電子書籍ユーザーの拡大、電子書籍ストアや出版社によるキャンペーンの拡大と文字ものなどのタイトル拡充によるユーザーの平均購入量の増加等により急成長が続いている。

 ケータイ向け電子コミックと同様に一ページずつではなく一コマずつコミックを見せるライトユーザー向けの電子書籍も好調が続いており、これらのコンテンツを中心に取り扱う電子書籍ストアも売上を伸ばしていると分析した。その結果、新プラットフォーム向け電子書籍市場は、市場全体の84.3%を占めた。

 一方、2012年度に新プラットフォーム向け電子書籍市場に逆転されたケータイ向け電子書籍市場は引き続き大幅に市場が縮小。2013年度は、2012年度から211億円(対前年60.0%減)減少して140億円となった。ます。

 では、2014年度以降の日本の電子書籍市場はどうなのか。同レポートによると今後も成長を続け、2018年度には2013年度の2.9倍の2,790億円程度になると予測している。

 市場は、今後もスマートフォンやタブレット保有者の増加をベースに、認知度の拡大や利便性の向上による利用率の上昇、紙の書籍との同時発売の増加、電子書籍ストアのマーケティングノウハウの蓄積、電子オリジナルのコンテンツや付加価値のついた電子書籍の販売、セルフパブリッシングの拡大等により、2014年度以降も拡大が続くと予想している。

 また、電子雑誌は、配信雑誌数や電子書籍ストアでの取り扱いが拡大しており、月額課金モデルのコミック誌の配信等も始まっている。今後も、大画面で高精細なスマートフォンやタブレットの普及、携帯電話会社による定額制読み放題のサービスの開始とともに、電子雑誌広告市場の形成による電子雑誌配信の本格化なども想定され、引き続き市場の拡大が見込まれるという。2018年度には550億円程度になると予測され、電子書籍とあわせた電子出版市場は3,340億円程度と予測した。(編集担当:慶尾六郎)