円安影響による倒産件数、前年の2.7倍

2015年01月09日 09:17

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14年に円安が影響して倒産した企業の数(負債1000円以上)は345件であり、前年の130件よりも約2.7倍増えた。

 7日、信用調査会社の帝国データバンクによれば、原材料価格の上昇などの円安の影響により2014年1年間で倒産した企業の数が、前年と比較して約2.7倍に増えたことがわかった。14年に円安が影響して倒産した企業の数(負債1000円以上)は345件であり、前年の130件よりも約2.7倍増えた。また負債の総額は1633億9600万円であった。原材料価格の上昇やそれにともなう仕入れ価格の高騰などが、中小零細企業を中心に経営の足かせとなった形だ。

 この調査結果は、信用調査会社の帝国データバンクが14年1年間で1000万円以上の負債を抱えて倒産した全国の企業の経営者に、背景や理由を聞き取りまとめたもので、それによれば円安影響により倒産したのは345件で、前年よりも約2.7倍に増えた。業種別に見てみると、「運輸・通信業」が96件と最多で、それに続いて「卸売業」が80件という結果であった。これは、円安に伴う原材料価格やエネルギー価格の上昇分を転嫁できなかったことが影響しているものとみられる。都道府県別に見てみても、鳥取県を除く全国46都道府県で倒産が発生しており、その影響は全国的に拡大している。また帝国データバンクが調査を開始した13年からの累計件数を都道府県別に見てみると、東京都が90件と最も多く、それに大阪府の41件、北海道の39件が続く。

 そして14年12月の円安影響による倒産件数は44件で、これにより13年1月の調査開始以来の月間最多件数を4ヶ月連続で更新することとなった。今回の結果を受けて帝国データバンクは、円安により大企業からの発注が増加するという恩恵を受ける前に、デメリットが顕在化しており、15年はさらに倒産件数が増加するのではないかとの見解を示している。

 企業の倒産件数は全体としては減少傾向にあるものの、円安の影響を受けた倒産は増加傾向にある。帝国データバンクは、円安は海外での事業の比率が高い大企業にとってはプラスと働くが、中小企業にとっては経営を苦しめる要因となる場合があるという見解も示している。(編集担当:滝川幸平)