【今週の展望】「灰色の1月」は我慢する週がもう1週間必要

2015年01月18日 20:29

 今週、1月第4週(19~23日)は5日間の取引。最大のイベントは22日のECB(欧州中央銀行)理事会で、「非伝統的手法」の金融緩和に踏み切るかどうか、踏み切るとしたらどんな手法をとるのかにマーケットの注目が集まる。もし、ギリシャ問題に配慮して今回も見送りという事態になったら、世界のマーケットをリスクオフの嵐が襲うことを覚悟しなければならない。

 世界の主要株式市場の休場は、19日にアメリカがキング牧師の誕生日(振替休日/実際の誕生日は15日)の祝日で休場する。「I have a dream」とはっきり言える投資家は、はたしてどれぐらいいるだろう?

 国内の経済指標は、まず19日の消費動向調査に注目。個人消費で13日の景気ウォッチャー調査の好結果を裏付けるような数字が出てくるのかどうか。20日の日本政府観光局発表の訪日外国人数は、2014年通年は過去最多を更新することが確実。

 19日は11月の鉱工業生産指数確報値・稼働率指数、12月の消費動向調査、全国百貨店売上高、20日は12月の首都圏新規マンション販売件数、コンビニ売上高、12月および2014年通年の訪日外国人数、21日は11月の全産業活動指数、景気動向指数一致指数確報値、12月の工作機械受注確報値、全国スーパー売上高、首都圏・近畿圏マンション市場動向、22日は民生用電子機器国内出荷実績、23日は1月のマークイットサービス業購買担当者景気指数(PMI)速報値が、それぞれ発表される。

 20~21日に日銀の金融政策決定会合が開かれ、21日の大引け後に黒田総裁の記者会見がある。22日に1月の金融経済月報が公表される。23日に岩田日銀副総裁が東京都内で講演する。気象庁から2~4月の3ヵ月予報が発表される。春の訪れが早ければ衣料品の売り上げには好影響が出る。

 主要企業の決算発表は、2月期決算企業の9~11月期決算に代わって3月期決算企業の10~12月期決算の発表が始まる。最大の注目はM&A戦略を再び積極化させている22日の日本電産。

 19日はメルコHD<6676>、津田駒工業<6217>、20日は東京製鐵<5423>、日本鋳造<5609 >、スーパーツール<5990>、ワイ・イー・データ<6950>、21日は光世証券<8617>、安川情報システム<2354>、総合メディカル<4775>、22日はゲンキー<2772>、小松ウォール工業<7949>、日本電産<6594>、DNAチップ研究所<2397>、安川電機<6506>、23日はさくらインターネット<3778>、JIEC<4291>、リコーリース<8566>、阿波銀行<8388>、サカイ引越センター<9039>、帝国ホテル<9708>、日置電機<6866>、カブドットコム証券<8703>、ハチバン<9950>が発表する。新規IPOは事実上、2月12日までお休み中。

 海外の経済指標は、20日の中国のGDP、ドイツのZEW景況感指数、23日のアメリカの中古住宅販売件数などが重要。

 19日はユーロ圏の11月経常収支、20日は中国の10~12月期の国内総生産(GDP)、12月の小売売上高、鉱工業生産、都市部固定資産投資、ドイツの1月のZEW景況感指数、アメリカの1月のNAHB住宅市場指数、21日は英国の12月の失業率、アメリカの12月の建設許可件数、住宅着工件数、22日はアメリカの11月のFHFA住宅価格指数、12月の北米半導体製造装置BBレシオ、ユーロ圏の1月の消費者信頼感指数、23日は中国の1月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、フランスの1月の製造業信頼感指数、フランス、ドイツ、ユーロ圏の1月の購買担当者景気指数(PMI)速報値、英国の12月の小売売上高、アメリカの12月のシカゴ連銀全米活動指数、1月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、12月の中古住宅販売件数、CB景気先行指標総合指数が、それぞれ発表される。

 20日はIMFから「世界経済見通し(WEO)」改訂版が発表される。アメリカのオバマ大統領が連邦議会で一般教書演説を行う。21~24日にダボス会議(世界経済フォーラム)が開かれる。21~22日にキューバの首都ハバナでアメリカとキューバの国交正常化に向けた高官級の初会合が開かれる。21日はブラジル、カナダの中央銀行が政策金利を発表する。22日にECB定例理事会が開かれ、政策金利など金融政策が発表される。終了後にドラギ総裁が記者会見を行う。25日はギリシャの総選挙の投開票日。

 アメリカ主要企業の決算発表は1月末にかけて、日本株よりも一足早く10~12月期決算がピークを迎える。20日はジョンソン・エンド・ジョンソン、ネットフリックス、IBM、AMD、ハリバートン、モルガン・スタンレー、21日はUSバンコープ、イーベイ、アメリカン・エキスプレス、サンディスク、22日はベライゾン、スターバックス、トラベラーズ、インテューイティブ・サージカル、23日はマクドナルド、GEが発表する予定。

 昨年1月の東京市場を「暗黒の1月」になさしめたのは、アメリカの雇用統計の悪化もあったが大部分は東京市場の需給悪化という内部要因だった。しかし、今年1月を「暗黒」とまではいかないが17000円台になかなか定着しきれない「灰色の1月」になさしめているのは、原油安やギリシャ問題や、突然のスイスフランの乱高下による為替市場の混乱といった外部要因である。フランスでのテロ事件も、地政学的リスクへの不安という影を落としている。こんなにも外部要因が悪いと、テクニカル指標が多少良くても太刀打ちできない。

 国内で消費する石油のほとんどを輸入に頼る日本では、原油安は本来、円安による原油輸入価格の上昇を相殺(オフセット)してくれるありがたい現象のはず。それなのに株価が下がるというのは、「石油元売り各社の在庫評価減」「掘削機械やパイプのメーカーなどシェールガス・オイル関連銘柄の下落」「海外投資家が日本株を売って原油先物取引の損失を穴埋めしている」といった国内要因もあるにはあるが、やはりエネルギー産業が基幹産業であるアメリカの株価が軟調になり、為替がドル安に振れ、その影響が東京市場に波及するという外部要因に依る部分が大きい。「ガソリン価格の低下で北米で日本のお家芸エコカーが売れなくなる懸念」「雇用不安が起きてアメリカの個人消費が冷え込む懸念」も、外部要因に含まれるだろう。