【今週の展望】過熱感があり好材料に乏しいSQ週を襲う恐怖

2014年12月07日 20:09

 今週12月第2週(8~12日)は5日間の取引。総選挙は14日の投開票日に向けてのラストウィーク。12日は「メジャーSQ」の日で、今週は鬼門の「SQ週」になる。9日の火曜日、10日の水曜日は、これまで何度も理由がよくわからない突然の下落に見舞われてきた鬼門中の鬼門の日。8日は日本が真珠湾攻撃で第二次世界大戦に参戦した日だが、イタリア、スペイン、オーストリア、中南米諸国などが「無原罪の御宿りの日」で休場する。聖母マリアの母アンナが原罪を免れてマリアを懐胎した日。ちなみにマリア様と何のご縁か終戦記念日も天に召された聖母被昇天の日。10日はタイが「憲法記念日」で休場。1932年の立憲革命後に最初のタイ王国憲法が発布された日。12日はマリア信仰あついメキシコが「グアダルーペの聖母の日」で休場。1531年のこの日に聖母マリアが現れた話はカトリック教会から「奇跡」として公認されている。

 国内の経済指標は、8日の7~9月期GDP改定値と10日の法人企業景気予測調査、11日の機械受注が重要。8日は10月の国際収支、7~9月期の国内総生産(GDP)改定値、11月の景気ウォッチャー調査、9日は11月のマネーストック、10月の携帯電話・PHS国内出荷実績、10日は11月の国内企業物価指数、10~12月期の法人企業景気予測調査、11月の消費動向調査、11日は10月の第三次産業活動指数、機械受注統計、11月の東京都心部オフィス空室率、12日は10月の鉱工業生産指数確報値が、それぞれ発表される。

 9日には三村日商会頭の講演がある。10日はエルニーニョ監視速報が発表される。この日、スウェーデン・ストックホルムのコンサートホールでノーベル賞の授賞式が行われ、赤崎勇氏、中村修二氏、天野浩氏が物理学賞を授与される。マララさんが授与される平和賞だけ会場はノルウェー・オスロの市役所。12日は株価指数先物、日経平均ミニ先物、オプション取引などの特別清算指数算出日(メジャーSQ)で、11月に上場したJPX日経400先物には初めてのSQ日になる。14日は衆議院選挙の投開票日。

 主要企業の決算発表は、8日は学情<2301>、萩原工業<7856>、スバル興業<9632>、9日は東日本ハウス<1873>、アスカネット<2438>、ロック・フィールド<2910>、日本ビューホテル<6097>、シーイーシー<9692>、丹青社<9743>、10日はカナモト<9678>、テンポスバスターズ<2751>、アヲハタ<2830>、佐藤食品工業<2923>、アゼアス<3161>、イーブックイニシアティブ<3658>、イムラ封筒<3955>、神島化学工業<4026>、ドクターシーラボ<4924>、11日は菊池製作所<3444>、サムコ<6387>、3Dマトリックス<7777>、オービス<7827>、アルデプロ<8925>、日本テレホン<9425>、12日はベルグアース<1383>、エイチーム<3662>、くらコーポレーション<2695>、丸善CHIHD<3159>、メガネスーパー<3318>、稲葉製作所<3421>、テックファーム<3625>、モルフォ<3653>、エニグモ<3665>、ソフトウェア・サービス<3733>、フリービット<3843>、ロングライフHD<4355>、イハラケミカル工業<4989>、ナイガイ<8013>、TASAKI<7968>、ファースト住建<8917>、東京ドーム<9681>。

 11日からいよいよ、26日までの11営業日で28銘柄という空前の新規IPOラッシュが始まる。11日は4銘柄。東証マザーズにビーロット<3452>が新規上場する。東京が本社で不動産投資開発、不動産コンサルティング、不動産マネジメントを行う。公開価格は2010円。東証マザーズに弁護士ドットコム<6027>が新規上場する。東京が本社で法律相談のポータルサイト「弁護士ドットコム」を運営する。コンプライアンスは完全無欠? 公開価格は1230円。東証マザーズにGMO TECH<6026>が新規上場する。東京が本社でネット広告事業を行うGMOインターネットグループの会社。公開価格は5800円。東証マザーズにスノーピーク<7816>が新規上場する。新潟県三条市が本社でキャンプ用品、アウトドアファッションなどの開発・製造・販売を行う。公開価格は2300円。12日は1銘柄。東証マザーズにクラウドワークス<3900>が新規上場する。東京が本社でIT系を中心にスキルを持つプロのお仕事のマッチングサイト「クラウドワークス」を運営する。公開価格は760円。

 海外の経済指標は11日のアメリカの小売売上高が重要。8日は中国の11月の貿易収支、ドイツの10月の鉱工業生産指数、9日はドイツの10月の貿易収支、経常収支、フランスの10月の貿易収支、英国の10月の鉱工業生産指数、アメリカの10月の卸売在庫、卸売売上高、10日は中国の11月の生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)、フランスの10月の鉱工業生産指数、アメリカの11月の財政収支、11日はドイツの11月の消費者物価指数(CPI)確報値、アメリカの11月の小売売上高、輸入物価、12日は中国の11月の都市部固定資産投資、小売売上高、鉱工業生産、ユーロ圏の10月の鉱工業生産指数、アメリカの11月の生産者物価指数(PPI)、12月のミシガン大学消費者信頼感指数が、それぞれ発表される。

 8日はブリュッセルでユーロ圏財務相会合が開かれる。11日はニュージーランド、インドネシア、韓国で政策金利が発表される。アメリカでは連邦予算の継続決議案期限。中間選挙で選ばれた連邦議会の新勢力は1月3日から。

 アメリカ主要企業の決算は、10日にトール・ブラザーズ、コストコホールセールが発表する予定。

 株価は好材料で上がり、悪材料で下がる。当たり前のことだが、前週は「前場がマイナスで終わった」という結果でもそれが後場の好材料視されるという奇妙な現象が起きた。今さら言うまでもなく、日銀のETF買い入れ、人呼んで「日銀砲」が、前場がマイナスなら律儀に374億円分発射されて後場の日経平均をプラスに変えてくれたからである。2日はムーディーズによる日本国債の格下げ、5日はECBの追加緩和見送り、為替の乱高下という悪材料を受けて前場は軟調だったが、それが「日銀砲」を誘い、後場の上昇につながって今週は5日間とも前日比プラスの白星が並んだ。むしろ前場がプラスで「日銀砲」が撃たれなかった日のほうが、後場の日経平均は値を下げていた。

 これを「官製相場だ」「日銀が正常な株価形成をゆがめていいのか?」などと批判するのはたやすい。しかし、日銀砲のパワーアップも含まれていた10月31日の黒田日銀からの「突然の贈り物」を大歓迎したのはマーケットではなかったか? だから、まるで孫悟空のごとく、どんなに派手に飛び回ろうと東京株式市場が日銀の手のひらの上に載っている状況は、嫌でも受け入れざるを得ないのだ。データを見ても、最近では日経平均終値の前日比の下落幅が50円以下の「惜敗」の日が激減していて、7月は7回、8月は3回、9月は4回あったのが、10月はゼロになり、11月は24円安で終えた26日の1日だけだった。惜敗で終わりそうでも日銀砲のおかげでプラスで終わった日がけっこうあったと推察できる。