リコーグループが完全禁煙化。就業中のあらゆる場面での徹底した禁煙を実施

2015年01月24日 20:21

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世界保健機関(World Health Organization,以下WHO)によると、喫煙が原因で命を落としている人は年間で約600万人。そのうち60万人以上が非喫煙者で、受動喫煙による被害だといわれている

 多くの企業で仕事始めとなった1月5日、株式会社リコー<7752>は国内リコーグループを対象に、リコーグループが所有もしくは賃借するすべての敷地・建物内での喫煙、及び就業時間内の喫煙を全面的に禁止した。また、勤務時間内においては、休憩時間を除いて社内に限らず、外出先、出張先、移動中など、あらゆる場面での喫煙を禁止するという徹底ぶりだ。

 世界保健機関(World Health Organization,以下WHO)によると、喫煙が原因で命を落としている人は年間で約600万人。そのうち60万人以上が非喫煙者で、受動喫煙による被害だといわれている。また、このまま推移すれば2030年までに年間800万人以上が喫煙及び受動喫煙で死亡すると推測されており、WHOではこの予防可能な死を回避するべく、毎年5月31日に世界禁煙デーを設けて、禁煙の啓発と各国政府などへの呼びかけを行っている。

 日本国内でも、公共施設の禁煙化が進み、JRほかの各交通機関でも車内はもちろん駅構内やホームなどからも喫煙場所はほとんど見られなくなった。さらには、2002年に東京千代田区が「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」の中に路上喫煙の禁止を盛り込んだのを皮切りに、各都道府県や各自治体でも次々と、路上喫煙禁止条例が制定されるようになり、街なかで歩きタバコを目にする機会もめっきり少なくなった。ビジネスの世界でも、大企業を中心に禁煙化の波が広がっているのは言うまでもない。

 とはいえ、今回のリコーの施策ように、社外活動時の喫煙まで禁止するのはなかなか類がない。多くの企業では、自社の敷地内のみの禁煙が普通だ。リコーが参考にしたといわれているのは、日本の企業でもいち早く全社禁煙を達成したローム株式会社<6963>だ。

 ロームは、世の中にこれだけ禁煙・嫌煙の風潮が広がる遥か以前、1990年には社内に「健康づくり委員会」を組織して、そこで早くも禁煙に対する取り組みを行っている。ロームは日本の半導体メーカーの中で最も早くシリコンバレーに進出した企業として知られているが、そこで禁煙に対する企業としての認識のあり方も学んだという。92年には全社禁煙化に向けた第一ステップとして、2日間の連続禁煙を目標に、喫煙者を対象とした「禁煙マラソン」を実施、翌93年には、禁煙ポスターや標語の募集等タバコの害に関する啓蒙活動を行っている。以降は、管理職から徐々に禁煙を進めていき、98年には世間に先駆けて、会社内のすべての場所、全時間帯での禁煙導入し、全社禁煙を達成したという。

 喫煙の風習は、新大陸で行われていた宗教的儀式をコロンブスがヨーロッパに持ち帰ったことから世界的に広がったといわれている。500年以上もの長きにわたって人々に愛されてきた嗜好品であるのは間違いないが、同時に星の数ほどの人の健康を害してきたものでもある。また、禁煙が成功すれば仕事の能率が上がるとも言われている。日本の企業戦士がタバコから卒業することで、ビジネスの新大陸も見えてくるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)