政府は1月10日、2015年度の公立小中学校の教職員定数を増員すると決定した。小学校の英語や理科など専科担当職員を100人、子どもの自主性を育むための「アクティブ・ラーニング」に100人、教員の事務負担を軽減する目的で事務員の数も増やしていくとして230人を採用する。全体で、実質的900人増える予定。
日本の教職員の労働時間は世界でもっとも長いと言われている。14年6月に発表された経済協力開発機構(OECD)の「国際教員指導環境調査(TALIS)」によると、日本の教職員の1週間あたりの平均勤務時間は53.9時間。OECD加盟34か国・地域中、もっとも長いという結果が出た。他国を例に挙げると、フィンランドが36.1時間、フランスが36.5時間、イタリアが29.4時間、アメリカが44.8時間となっている。
仕事時間の内訳でみると、「指導(授業)に使った時間」の全参加国平均は19.3時間であるのに対し、日本は17.7時間と短い。一方、「学校運営業務への参画に使った時間」は平均1.6時間で、日本は3.0時間と約2倍。「一般的事務業務(教員として行う連絡事項、書類作成その他の事務業務を含む)に使った時間」は平均2.9時間で、日本は5.5時間。さらに、「課外活動の指導(放課後のスポーツ活動や文化活動)に使った時間」については、平均が2.1時間で、日本は7.7時間と約4倍に近い。
学校のクラブ活動の顧問ともなれば、土日祝日は練習や試合で埋まり、休む暇もないのが日本の教員の実情だろう。クラブの指導時間を労働時間ととらえれば、過酷な長時間労働とも言えなくもない。教員の負担が大きくなれば、労働意欲の低下、ひいては授業の質の低下にも繋がる。
政府は教職員の増員と合わせて、小1、小2の35人学級の維持を明言。財務省は財政負担の問題から、以前の40人学級編成に戻ることを提案していたが、それを退けた形だ。少子化により子どもの数が減少していく中、教育の質の向上はますます大きな課題となるだろう。(編集担当:久保田雄城)