長時間労働を強要したり、厳しいノルマを課したりなどするブラックバイトによって、大学に通うことができなくなる学生が存在する。不当な労働環境を改善すべく、学生が労働組合「ブラックバイトユニオン」を立ち上げた。
ブラックバイトとは、学生や非正規雇用のアルバイターに対し、過重労働や残業代または賃金を払わないなどの違法行為を行うアルバイトを意味する。契約内容とは異なる長時間労働を強いられたり、厳しいノルマに追われ、大学に通う時間さえ捻出できなくなったという学生がいるのだ。学生生活を支えるためのアルバイトが学業を蝕むとあっては本末転倒だ。8月1日、このブラックバイトの実態を明らかにし問題解決を図るために、学生が労働組合「ブラックバイトユニオン」を立ち上げた。
参加者は大学生と大学院生を合わせて20名。8月3日には午後1時~4時の間にブラックバイトに関するホットラインを開通し、21件の相談が寄せられた。相談内容で多かったのは飲食店やコンビニでのアルバイトだ。特に最近サービス業は人手不足だと言われ、人材の確保が難しくなっている。そのため無理矢理シフトを増やされたり、サービス残業を求められたりするケースが目立っている。また本人よりも両親や同僚などからの相談が多かったという点から、学生が労働基準法に詳しくないことに付け込んでアルバイト先が利用しているといった背景も浮かんできた。
ブラックバイトユニオンは、相談内容に応じて具体的な対応策をアドバイスしながら、学生自身が労働に関する法的知識を身につけられるよう、取り組みを続けていくとしている。8月10日には東京都内で実施されたセミナー「ブラックバイトから生徒・学生を守るために?大変すぎるアルバイトから学生生活を守る方法?」に参加。高校や大学の教員や学生など約30名を前に、佐藤学共同代表が具体的事例を挙げながら、ブラックバイトの実態を明らかにした。
同セミナーに参加した中京大学の大内裕和教授はブラックバイトを社会問題として受け止め、行政や学校と連携を深めながら解決に取り組んでいくことが必要だと述べた。また、学費や生活費の工面に追われる学生生活を見直すためにも、奨学金制度充実などの対策を求めた。社会の貴重な担い手となる若者の育成のためにも、学業に専念できる社会環境を作ることは重要な課題だろう。(編集担当:久保田雄城)