【今週の展望】「節分天井」で折り返し点になる週なのか?

2015年02月01日 20:13

 その産油国の政府系ファンドが、原油安で石油製品の販売収入が減少してバランスが崩れた財政収支を均衡させる目的で先進国や新興国の株式に投じた資産を引き揚げるとしたら、世界のマーケットがリスクオフの大波におおわれるのは必定。その影響はヘッジファンドの一時的なポジション手じまいの比ではない。まさに原油安が世界のマーケットにもたらす悪影響の本丸と言っていい。もし東京市場でその動きが本格化したら、今年の株価を下支えすると期待されるGPIFの買いも日銀のETF買い入れも、焼け石に水になる。

 「産油国の投資の引き揚げ」は、現在のところまだ予兆の段階にすぎない。しかしWTIの原油先物価格が50ドルを割り込んでいる状況が元に戻る気配すらない現状では、決して楽観視はできず警戒を要する海外発のリスク要因である。もしもそれが、月が替わって2月からはっきり動き始めるとしたら、東京市場はこの先、「節分天井、彼岸底」の格言を地でゆく展開になることだろう。

 仮定の話はこれぐらいにして今週のファンダメンタルズ的な要素に目を向けると「アメリカの雇用統計待ちの様子見」と「依然高水準の信用倍率」が上値追いの向かい風になる構図が予想される。昨年は10勝2敗の好パフォーマンスだった「SQ前週」で、ピークを迎える主力銘柄の決算がどんなに良くても、NYダウ上昇の追い風を受けようとも、それに太刀打ちできない恐れがある。頼みの企業業績もホンダ<7267>などは通期見通しを下方修正しており、予断を許さない。

 さらに為替の円高、政策への失望、地政学的リスクやテロの発生、前週のスカイマーク<9204>の民事再生法申請のような突発的な事態などが起こると大幅安の引き金を引く恐れすらある。前週はNYダウが3ケタ安でも日米連動せず日経平均がプラスになる日(28日)もあったが、週が改まってその「ツケ」を支払わされるかもしれない。月も替わったので、強気で良かった前週とは様変わりして要警戒の週になりそうだ。

 それを前提に30日の日経平均終値17674.39円のテクニカルポジションを確認しておくと、17662円の5日移動平均、17380円の25日移動平均、16871円の75日移動平均、15791円の200日移動平均を全て見下ろす位置にある。日足一目均衡表の「雲」は16279~17317円にあり、上限は357円も下にある。今週の雲は、下限は16279円のままで上限は17313~17322円とあまり動かない。ボリンジャーバンドは17047円の25日線-1σと17712円の25日線+1σの間の「ニュートラル・ゾーン」に位置している。

 テクニカル指標の25日移動平均乖離率は+1.69%、25日騰落レシオは107.22で、ボリンジャーバンドともども「買われすぎでも売られすぎでもない」状態。上にも下にも動きやすいが、ファンダメンタルズを考慮すると前週とは逆に上値は限定的で、下値はけっこう下まで行くと想定する。とはいえ、通常国会が開会中で不意に政策がらみのフォローの突風が吹く可能性も捨てきれず、テクニカル的にみて途中にレジスタンスラインがない上値の18000円タッチはあり得ないことではないとみる。

 一方、下値は25日移動平均線(17380円)、1月SQ値(17341円)、雲の上限(17313~17322円)、12月SQ値(17281円)の「サポートライン密集地帯」があるものの少々おぼつかなく、ボリンジャーバンドの25日線-1σの17047円付近まで押し戻される可能性はあるとみる。下手をすると16871円の75日移動平均線でようやく止まるかもしれない。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは17000~18000円とみる。売りと買いの要素が交錯してボラティリティは乱高下気味に拡大する。調整の週になりそうなので18000円はいったん遠ざかるが、チャレンジの機会はいずれ再びめぐって来るだろう。「灰色の1月」を終えて、日経平均はいつの間にか移動平均線も「雲」も下界に見下ろす「孤高の鳥」と化していたが、その鳥は2月、どこへ飛んでいくのだろう? 孤高の詩人は言葉を紡ぐ。「羽ばたいて、鳥は飛び去る。羽ばたいて、鳥は消える。羽ばたいて、鳥はまた現れる」(アンリ・ミショー)。