企業がその信頼を失うきっかけは様々だが、その1つに「顧客情報の流出」がある。「顧客情報の流出」といえば、やはり2014年7月に発覚したベネッセホールディングス<9783>の流出問題のことを思い出す。この問題によりベネッセホールディングスは著しく顧客からの信頼を失う結果となり、またその後の対応にも疑問を持たれたことから、信頼感を失った顧客にさらに不信感を植え付ける形となり、今なおベネッセホールディングスはその信頼回復に追われている状態だ。
そうしたなかベネッセホールディグスは7日、住所や氏名などの情報を入力しなくても、プリペイドカードによって通信教育講座を受講することのできる新サービス「BenePa(ベネパ)」を17日より開始するとの発表を行った。14年7月に発生した顧客情報の大量流出問題を受け、顧客からの信頼を失うこととなったベネッセホールディングスは、この個人情報を入力しなくても利用することのできるサービスを開始することで、不安感を覚えている顧客に安心してサービスを利用してもらいたい考えだ。
プリペイドカードはコンビニエンスストアのローソンで販売され、提供される通信教育講座は幼児から高校生が対象となる。利用者はプリペイドカードに記載された数字を専用サイトに入力し、学年や学力に応じた希望の講座を選択する。また提供される講座は英語や算数など32種類で、いずれも500円(税込み)となっている。そして通信教育講座では音声や動画による指導も行われ、それにより従来よりも英語の発音や算数の作図など解説がわかりやすいという工夫がなされている。
14年7月の顧客情報流出問題により、ベネッセホールディングスの主力事業である進研ゼミでは14年4~14月の会員数は前年同期比6.8%ダウンとなっており、ベネッセホールディングスは今回新しく開始するサービス「BenePa」を、顧客数回復のきっかけにしたいとしている。さらにベネッセホールディングスは、顧客情報流出問題以来停止していた新規会員獲得のためのダイレクトメールについても再開させたと発表。「まなびガイド」という名称でもって、月400万通を郵送するという。(編集担当:滝川幸平)