すき家の赤字と深夜営業の深い関係

2015年02月22日 20:46

画・すき家の赤字と深夜営業の深い関係

「すき家強盗」。その影響はすき家を運営するゼンショーホールディングス〈の決算に顕著に表れている。2014年4月~12月期連結決算は25億円の赤字に転落している。一時、牛肉の価格が高騰した事も要因の一つだが、深夜営業の休止が大きく影響している。

 社会問題にもなった「すき家強盗」。その影響はすき家を運営するゼンショーホールディングス〈7550〉の決算に顕著に表れている。2014年4月~12月期連結決算は25億円の赤字に転落している。一時、牛肉の価格が高騰した事も要因の一つだが、一連のワンオペ騒動による深夜営業の休止が大きく影響している。
 
 「すき家強盗」が頻発した主な原因は深夜のワンオペだと言われている。ワンオペとはアルバイトが一人でシフトに入ることを意味する。結果、接客から調理、会計、掃除などすべてを一人でこなさなければならない。すき家は深夜ワンオペになっている店舗が多かったので、強盗のターゲットになってしまったようだ。警察からの指導もあり、すき家のワンオペは解消されることになった。しかし、アルバイト人員の確保が思うように進まず、深夜の営業を休止する店舗が相次いだ。ただでさえ深夜アルバイトを希望する人は少ないのに、強盗が多発していた店となると進んで働きたいと希望する人はそういないだろう。しかし、同社は6月末までに全店舗で深夜営業を再開するという強気の姿勢を見せている。脱赤字に深夜営業再開は不可欠なのだろう。

 だが、すき家の深夜営業再開に不安はつきない。当初の予定では3月末に深夜営業再開をめざしていたが6月末にずれ込んでいる。ゼンショーホールディングスは以前より雇用環境の問題が指摘されていて、仕事にすべてをささげるという前近代的な企業体質を背景に従業員の労働条件や待遇の悪さは有名である。12年と14年にはブラック企業大賞という不名誉な賞を受賞している。深夜営業を再開させることよりも、ビジネスモデルを見直すことから始めた方がいいという厳しい意見もある。

 吉野家<9861>は牛丼並盛300円を380円に引き上げている。すき家も昨年、牛丼並盛を270円から291円に値上げしている。デフレからインフレへ時代が変化しているので値上げも当然のことなのだろう。逆風の続くすき家は変われるのか今後に注目したい。(編集担当:久保田雄城)