すき家の赤字が6倍に拡大 75億円の赤字に

2014年11月16日 16:06

 牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングスは、2015年3月期の連結営業損益予想を17億7,400万円の赤字に下方修正すると発表した。従来の予想では80億5,500万円の黒字を見込んでいた。また税引き後利益は8月時点では、13億円の赤字と見込んでいたが、75億円の赤字へと下方修正。創業以来初の営業赤字と無配になる。

 すき家を巡っては、深夜帯の1人勤務など過重労働が問題視された。その結果、「ワンオペ」と呼ばれる深夜の1人勤務体制が解消できない1172店の深夜営業を休止。休止時間が売上の減少に繋がると共に、最近では肉価格の高騰で経費も膨らんでいる。そのため売上高の予想も8月時点よりも157億円少ない5,092億円とした。こうした一連の経営不振の責任をとり、小川賢太郎会長兼社長が今年12月からの6か月間、役員報酬を月額30%カットする。取締役や執行役員の報酬も7~10%減らす予定である。

 ゼンショーホールディングスに関しては、法外な働き方を強いられるとして、「ブラック企業」のイメージが強く付いている。「ブラック企業大賞」にも12年と14年に名前が挙がり、24時間以上の勤務が何回も続く環境や、月の労働時間が500時間になるなどの問題が取りざたされた。

 同様に「ブラック企業大賞」にノミネートされたことのある居酒屋チェーン「和民」などを運営するワタミも、15年3月期の連結最終損益が30億円の赤字と発表した。今期は人手不足解消のために60店の閉鎖を計画していたが、それも100店に拡大させる予定だ。

 デフレの覇者と呼ばれた、ゼンショーホールディングスやワタミの失墜。両者に共通するのは、現在アルバイトなどの人手が集まらないことである。そのために店舗経営が上手くいかず、それが売り上げなどにも影響を及ぼしている。「ブラックな労働環境」というイメージが定着した今、ゼンショーホールディングスの本当の実力が試されているのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)