独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は1月28日、久米島沖で金属が積もってできる海底熱水鉱床を確認したと発表した。鉱床が確認されたのは久米島の西側約30キロの沖合で、南北約1500メートル、東西約300メートルの範囲。サンプル採取した鉱石の平均品位は、銅13.0%、亜鉛12.3%など極めて高品位で、レアメタル(希少金属)のガリウムも含まれていた。浦辺徹郎東大名誉教授は、「陸上にすらないような鉱石が見つかったのは驚嘆すべきことだ」と語っている。
JOGMECは、資源量特定のためのボーリング調査を行い、2020年代には民間企業による商業化を開始したいとしている。すでに、JOGMECは沖縄本島北西約110kmに位置する伊是名海穴「Hakureiサイト」、沖縄本島北西沖の伊平屋小海嶺周辺の「野甫サイト」の調査を進めている。
久米島沖では、昨年9月に海上保安庁が自律型無人潜水機「ごんどう」を用いて精密地形調査などを行い、海底熱水鉱床の存在を推定していた。そのため久米島沖の海底熱水鉱床は「ごんどうサイト」と仮称されている。「ごんどう」の調査を受け、JOGMECが無人探査機による調査を続けた結果、今回の確認となった。
一方、JOGMECは昨年1月には、公海域の深海底鉱物資源を管理する国際海底機構と、レアメタルを多く含む海底地層「コバルトリッチクラスト」の探査活動を行うための契約に調印している。場所は、南鳥島の南東沖約600キロメートルに位置する公海域。これにより、コバルト、ニッケル、白金などのレアメタル資源開発の道が開ける。
わが国では、1970年まで200以上あった金属鉱山が1980年以降100以下になり、その後さらに減少、銅や亜鉛など金属の多くを輸入に頼るようになった。近年の有望な海底熱水鉱床発見やコバルトリッチクラスト探査権取得によって、「資源大国」への道が開けるのではという期待も膨らむ。(編集担当:久保田雄城)