NHKの籾井勝人会長は3月の定例記者会見で、記者団から「政権が何を言ってきても、防波堤になって現場を守る覚悟はあるか」と聞かれ「それはそうだ」と答えた。
籾井会長は「放送法によって公平・公正、不偏不党、誰からも規律されずというのは、そういうことではないか」と政府など政治介入には防波堤になり、放送法に基づき、NHKの公共放送としての立場を守る考えを示した。
籾井会長については2月の会見で、従軍慰安婦について「正式に政府のスタンスがまだ見えない。慎重に考えないといけない」などと政府の意向にそった番組作りを意識させる発言があった。会長就任当初に「政府が右という事を左とは言えない」(後にこの発言は取り消したが)と発言した考えに通じる。
ただ、籾井会長は「誤解を招くようなこともあったかもしれないが、真意は、この問題(従軍慰安婦問題)については慎重にしなければならないと申し上げたつもりだ」と答えた。
籾井会長は「我々は放送法に則って、自主・独立の形で放送している。わたしが着任してから、政府からの何の干渉も受けていないし、偏った放送は何一つない。政府に近いとか、我々が忖度(そんたく)して番組をつくることもないということは、はっきり申し上げておきたい」と強調した。
また、1月の国際放送番組審議会で河野談話は日本の公式スタンスとはいえないとの趣旨の発言をしたのかと記者団に聞かれ「断定的に言ったことはないと思う。民主党の部会では村山談話、河野談話は政府の公式見解だと申し上げている」と自身の発言で、ともに政府の公式見解だとの認識を語った。(編集担当:森高龍二)