時代にそぐわない条文の典型が9条と思う 総理

2015年02月21日 14:11

画・低年金支援増税の影響て_先送りに★.docx

安倍総理は今国会でも「憲法改正は自民立党以来目指してきた」と安倍総理の視点では『自主憲法』制定への強い意欲を示している

 さきの戦略戦争と植民地支配の過ちを決して繰り返すことがないよう明文化された憲法前文と第9条(戦争の放棄)の、国民的な誓い、決意を表した規定が一内閣の「安全保障環境が変わった」という理由づけと集団安全保障という積極的平和主義へ歩むという理由づけによる「憲法解釈の変更」で、なし崩しにされる危険が高まっている。

 そして、安倍晋三総理は月刊誌(論座2004年2月号)で、日本国憲法について「時代にそぐわない条文、その典型的なものが九条だと思いますが、それ以外にも新しい価値観が生まれている中で見直していかなければいけない条文、あるいは改定しなければいけない条文がある」と9条は時代にそぐわない条文の典型との考えを示していた。この指摘は辻元清美衆議院議員が2006年当時、安倍総理の憲法に対する認識を尋ねた質問主意書の中でも紹介されている。

 ただ、こうした視点で9条をとらえる安倍総理が、9条を形骸化させ、総理のいう新しい時代に相応しい条項にかえていく、憲法改正が無理なうちは、最大限、この枠を解釈変更して、自ら考える方向に近づけようとするのは当然だ。

 総理は日本国憲法を「連合国軍総司令部(GHQ)の憲法も国際法も、全く素人の人たちが、たった8日間でつくり上げた代物」と発言したそうだが、平成18年10月当時の安倍内閣としての見解でも「政府としては、現行憲法は、最終的には帝国議会において十分に審議され、有効に議決されたものであるが、連合軍の占領中に占領軍当局の強い影響の下に制定されたものであると考えている」との政府見解を示し、さらに「新しい時代にふさわしい憲法の在り方についての議論が積極的に行われている。与野党において議論が深められ、方向性がしっかりと出てくることを願っている」と答弁していた。

 安倍総理は今国会でも「憲法改正は自民立党以来目指してきた」と安倍総理の視点では『自主憲法』制定への強い意欲を示している。その最大の目標が憲法9条の規定を変更することにあることは、これまでの発言などで誰の目にも明らかだ。

 そして、憲法9条の解釈変更に合わせた「安保法制の見直し」への動きが活発化している。防衛省設置法を改正し、省の外局に「防衛装備庁」をつくり、戦闘機はじめ防衛装備品の研究から調達までを一元化する。調達コストを引き下げるのが狙いとしながらも、防衛装備という武器の国際共同開発の促進や武器輸出の促進につながっていく。すでに輸出については武器輸出3原則が変更され、防衛装備移転3原則に塗り替えられた。
 
 防衛省設置法の改正により背広組の文官と制服組の自衛官で行っている現在の部隊運用に関する業務を制服中心の統合幕僚監部に一本化する。文官統制が緩むことになる。佐藤正久元防衛大臣政務官はヒゲの隊長で有名な方なので、いうまでもなく現場を知っての思いではあるが「法改正案により、これまでの『文官統制』が是正され、部隊の運用ニーズに沿った装備品の提供、装備品の国際共同開発、調達改革を踏まえた上での技術基盤の維持・育成の体制確立がより効率的に進むと考えられる」とブログに紹介した。

 「文官統制が是正される」という表現だ。また「防衛装備品市場については、国際共同開発に積極的な参加を行うとの回答を防衛省から受けた」としている。

 さらに、19日、NHKが自衛隊による外国軍隊への後方支援について「政府がまとめた法整備の骨格案が明らかになった」と報じた。

 「国際社会の平和と安定のために行う後方支援は恒久法を制定し、支援の対象には国連決議に基づいて活動する多国籍軍だけでなく、自衛権に基づいて、テロの脅威を取り除く活動を行う外国軍隊や領域国の同意を得て治安回復などの活動を行う外国軍隊なども含める」としているという。その支援内容には「弾薬の提供や戦闘準備中の航空機への給油」も可能にとしている。

 弾薬の提供や戦闘準備中の航空機への給油活動が後方支援といえるのか、多国籍軍や外国軍隊と戦闘状態にある対戦国からすれば、弾薬提供や戦闘準備中の戦闘機に給油する日本の自衛隊は、まさに戦闘参加国だろう。後方支援と質が異なるといわなければならない。

 安倍総理のいう積極的平和主義がもたらす「後方支援」の拡大は、与党協議の中で修正すべき。あわせて、国会の場で、米国の顔色をみるのではなく、憲法に照らした熟議が求められている。安保に関して戦後最大の重要国会といえよう。(編集担当:森高龍二)