米牛バラ肉が下落、客足遠のく牛丼の値段は今後どうなるのか

2015年03月19日 11:52

画・米牛バラ肉が下落、客足遠のく牛丼の値段は今後どうなるのか

牛丼に使われる米牛バラ肉の高騰がここに来て下落に転じた。2013年から続いたバラ肉の高騰は、円安ドル高と干ばつによる干し草や穀物の価格が米国内で高騰したこと、多くの農家が餌代の高騰に耐え切れず繁殖用の牝牛まで手放したことが原因であった。

 日本人の国民食ともいわれる牛丼。その牛丼に使われる米牛バラ肉の高騰がここに来て下落に転じた。2013年から続いたバラ肉の高騰は、円安ドル高と干ばつによる干し草や穀物の価格が米国内で高騰したこと、多くの農家が餌代の高騰に耐え切れず繁殖用の牝牛まで手放したことが原因であった。その後、中国でのバラ肉の需要が高まり、さらに高騰を続けた。

 今回バラ肉の価格が下落に転じた要因は、米牛バラ肉の需要が増加していた中国で米牛肉の摘発が強まり、中国国内の需要が減ったことである。
 
 牛丼チェーン大手3社は14年4月以降の値上げで、客数の減少が売り上げの伸び悩みにつながっている。チェーン店別に見ると、吉野家<9861>は14年4月以降客数の減少が続いた。14年11月は前年同月比7.6%増と一度はプラスに転じたが、それ以降15年2月まで客数を減らしている。すき家<7550>も14年5月以降、松屋<9887 >も14年6月以降客数の減少が続いている

 この結果を見ると、消費者は現状の価格でも牛丼は高いと考えているということがわかってくる。これ以上値上げをすることは客単価のアップは期待できるが、一層の顧客の牛丼離れをよぶことになり、更なる売り上げ減につながりかねない。

 このような状況の中、すき家はメニューを多くすることで売上げ減に対応しようとしているが、顧客の心をつかむ商品は見つかっていない。吉野家、松屋でも過去さまざまなメニューが開発されてきたが、牛丼を超えるヒット商品はいまだ生まれていない。

 価格の高騰に一息ついた観のある米牛バラ肉であるが、ここに来てさらなる値上がりの気配がある。ひとつは、15年5月には中国が米国産牛肉の輸入を許可する動きである。

米国内でもバーベキューのシーズンになり、米国内のバラ肉の需要増が見込まれている。

さらに、途上国でも牛肉の需要が増えていることから、昨年以上の値段がつくことが予想されている。現状の価格でも消費者に高いと判断されている牛丼、値上げをすればさらなる顧客離れが心配される。

 中国が米国産牛肉の輸入を許可すると目される15年5月は、牛丼がこれからも消費者に愛される国民食であり続けられるかどうかの分かれ道となろう。(編集担当:久保田雄城)