15年の百貨店の命運を握るのは付加価値商品傾向

2015年01月07日 15:58

 2015年の百貨店業界の展望を考える上で、「はたして14年4月に実施された消費税増税の反動減の影響から完全に脱出できるか?」ということを抜きにすることはできないだろう。14年1年間を通じて百貨店業界はこの「反動減」に苦しめられ続けたわけだが、それからの脱出なくしては、15年に百貨店業界が大きく成長することはむつかしいと言わざるを得ない。

 しかしその反動減にも、確実に収束傾向は見られている。もちろん、日本百貨店協会が全国百貨店売上高を発表し、その売上高に回復傾向がみられるたびに、そうした「反動減に収束傾向がみられる」とあちこちで言われ続けてきたわけで、14年12月19日に日本百貨店協会が発表した11月の全国百貨店売上高は、前年同月比1.0%ダウンの5581億円という結果で、これで消費税増税が実施されてから8ヶ月連続で前年を下回ることとなったのだが、しかしそのマイナス幅は前月10月の2.2%ダウンよりも縮小しており、その影響は残っているものの着実に反動減の影響から抜け出しつつあるという風にも見ることはできる。

 また円安などの影響により訪日外国人の売上高が伸び続けていることも、百貨店業界の今後を予想する際の好材料であるといえるだろう。日本百貨店協会によれば、訪日外国人の売上高は14年11月の時点で22ヶ月連続でのプラスとなっており、この成長傾向は今後もまだまだ続くものとみられている。
 
 さらには、消費者の間で高付加価値商品を求める傾向が強いことも、高額商品を多く取り扱う百貨店にとっては有利な傾向だ。事実14年11月の全国百貨店売上高では、高額商品が順調に推移している。かつての「安さ」を求める時代から、「お金を出しても、より良いものを求める」時代になりつつある今、消費者の多くが取り揃えと信頼感から百貨店に足を向ける機会は増えるものと思われる。その時に、そうした消費者の期待に応えることができるかどうかが、百貨店の今後の命運を分けることだろう。

 百貨店であろうとも、今は待っているだけではお客は集まらない時代であり、かつてと同じ姿勢ではお客の足を百貨店から遠ざける結果になるだけだろう。15年、百貨店はその特性を活かしつつ、生まれ変わる必要がある。(編集担当:滝川幸平)