2月18日から24日までの1週間、日本国内は中国人観光客による「春節特需」に沸いた。円安もあり、日本への外国人観光客は年々増加しているが、中でも中国人観光客の伸び率は非常に高くなっている。
2014年の外国人観光客数は、過去最高の1340万人。その内、中国からの観光客は240万人で、伸び率は前年比83%増となった。15年1月に日本政府が中国で出した訪日ビザは約25万件、こちらは前年比70%増。この数字を見ても、今年はさらなる中国人観光客の増加が見込まれる。
今年、多くの百貨店や免税店で、春節期間内の売上は前年の2.5倍から3倍を記録し、小売閑散期と言われる2月に降って沸いた特需となった。特に人気を集めたのは、日用品や化粧品、家電、またブランド物の時計といった商品だ。中国人観光客がそうした小売商品を日本で大量に求めるのは、円安の影響だけではない。多くの中国人観光客が口にするのが「中国国内で買うよりも、日本製のものの方が安全で高品質。偽物などが売られていない」という理由だ。「日本製」をブランドとして強く信頼していることがうかがえる。
小売店や観光地は、増える中国人観光客に潤う一方で、マナーの悪さに閉口している面もある。強引な値切りや買い占め、飲食店やホテルでのトラブルなど、各地でそういった問題も起こっている。営業利益は上がるものの、マナーを見ると心底は喜べないという店舗が多いようだ。
しかし、中国人観光客の中にも、「日本を訪れ、お店の清潔さや丁寧さに衝撃を受けた。見習うべきところが多い」と感じる人も少なくないようだ。日本の文化やおもてなし精神にふれ、また訪れたいと考えてくれる人が増えてくれれば、それがお互いにとって一番ではないだろうか。
「良い商品が安くてたくさん買える国」と「お金は落としてくれるけれど、ちょっと困ったお客さん」という相互認識のままでは、中国人観光客の日本ブームは一過性で終わってしまうかもしれない。そうではなく、文化や言語を越えて相互に理解を深めるきっかけとなっていってほしい。(編集担当:久保田雄城)