任天堂、DeNAと資本・業務提携。スマホで共同開発

2015年03月21日 14:53

 これまで任天堂<7974>は、どれだけ業績が苦しい状況に追い込まれようとも、スマートフォン(多機能携帯電話)ゲームへ手を伸ばすようなことはしてこなかった。それはスマートフォンゲームにおいて利益を挙げるためにはなくてはならない「課金システム」が、これまで任天堂が築き上げてきたブランドイメージにはそぐわないという認識からだ。しかしその方針を変更して、いよいよ任天堂がスマートフォンゲームの世界に足を踏み入れようとしている。

 17日、任天堂は「パズル&ドラゴン(パズドラ)」などのスマートフォン向けゲームを手がけるDeNA<2432>と資本・業務提携を結び、株式を持ち合った上で、任天堂のゲームソフトや代表的キャラクター「マリオ」などを使用したスマートフォン向けゲームを両社で共同開発し配信していくとの発表を行った。これまで自社の端末とその専用ソフトの開発を主としてきた任天堂にとって、今回の資本・業務提携は大きな転換であり、またこれまでスマートフォン向けゲームに対して一定の距離を保ち続けてきていたその方針を大きく転換することとなる。

 株式については、DeNA株10%を任天堂が保有し、任天堂株1.24%をDeNAが保有する。それぞれ金額にして220億円相当になる。

 これまでずっと自社の端末とその専用ソフトの開発に注力してきた任天堂が、今回こうしてDeNAと共同でスマートフォン向けゲームの開発に乗り出したわけは、やはり業績の低迷に理由があるだろう。スマートフォンの普及にともない、今やスマートフォン向けゲームは家庭用ゲームを脅かす存在となりつつある。そのあおりを受けて任天堂は2014年3月期まで3期連続で赤字を計上している。こうした業績低迷を改善させるためには、やはり今後も需要拡大は期待されるスマートフォン向けゲームに手を出さざるを得なかったというのが実情ではないだろうか。

 今後両社は、任天堂の持つ「スーパーマリオ」「ゼルダの伝説」「ポケットモンスター」などの人気タイトルのキャラクターを使用しつつ、DeNAが持つスマートフォン向けゲームのノウハウを活かして相乗効果をはかりたい考えだ。(編集担当:滝川幸平)