安全保障法整備の具体的な方向性に自民・公明両党が実質合意したことを受けて、民主党の岡田克也代表は20日、「与党だけで不透明な形で検討が行われたことは国民不在の議論と言わざるを得ず、内容も極めて問題の多いもの。集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更を閣議決定したことについて立憲主義を無視したものとして撤回を求めてきた。今回の与党合意は閣議決定を踏襲したもので、断じて容認できるものではない」との談話を発表した。
岡田代表は「安全保障政策にかかる歴史的な大転換の是非について、国会における国民をまきこんだオープンかつ徹底的な議論を与党に対して要求していく」としている。
また具体的な問題として(1)PKO法を改正し、幅広い任務遂行のための武器使用を前提とした治安維持任務を認めようとしている(2)他国軍支援について、恒久法の必要性、どのような場合に後方支援を認めようとしているのかが明確でなく、「武力行使との一体化論」について「現に戦闘行為が行われていない現場」という極めて問題の多い概念を用いようとしている(3)周辺事態法において、「周辺」の概念をなくすとともに、米軍以外の他国軍隊への支援も可能としようとしており、日米安保条約の効果的な運用に寄与するという本来の法目的を大きく逸脱している(4)集団的自衛権について新3要件そのものが曖昧で、具体的な歯止めになっていない(5)集団安全保障措置への参加について、累次の国会答弁においてその可能性を否定していないにもかかわらず、与党共同文書の中で何ら説明がないなど、「切れ目のない安全保障法制という名の下に、歯止めのない自衛隊の海外での活動拡大につながるのではないかとの懸念を感じざるを得ない論点がある」と提起している。(編集担当:森高龍二)