2013年9月に函館線で貨物列車脱線事故が発生した後に、レールの事情放置や検査数値の改ざんなど不祥事が相次いで発覚したJR北海道は20日、車両の更新やレールの修繕などの安全対策に対して、14年度より5年間で総額2600億円を投じると発表し、計画を国土交通省に提出した。同社は相次いで不祥事が発覚した際に、国土交通省から事業改善命令と監督命令ともに、安全確保のために早急な投資計画の策定を求められていた。
計画の内訳は、13年に相次いで出火事件を発生させた特急などの老朽車両の更新に390億円、枕木のコンクリート化などに100億円、合計で安全投資に1200億円を投入する。また電気設備の大規模改修やトンネル、橋などの修繕費に約1400億円を計上する。JR北海道は資産売却や資源削減により資金を確保するとしているが、不足分については国に支援を求めるとしている。支援要請額は1000億円程度にまで膨らむ可能性もあるという。
今回発表されたJR北海道の安全投資額は、13年度までの5ヶ年と比較して930億円多く、1987年の発足以来、最大規模の投入となる。
また資金確保のための施策のうちの1つである経費削減では、安全運行のために13年に開始した特急列車の減速を続けるとともに、来年度のダイヤ改正に合わせて、乗客の少ない一部ローカル線については運行本数を減らすなどのサービス抑制を行うとしている。そして運賃の値上げや路線廃線の可能性については、選択肢としては廃除していないものの、具体的に計画しているわけではないとしている。
列車事故はひとたび発生すると、多くの人々の命を奪うことにもなりかねない。それは05年に発生したJR福知山線脱線事故からもわかることだ。鉄道事業で赤字の続くJR北海道としては資金の自己調達が厳しいため、国に1000億円規模の支援要請を求めることになる可能性が高いが、しかしよく言われる言葉だが「命はお金に代えられない」ことからも、いくら多額な資金が必要となろうとも、利用者を安全に運行するためにも万全の対策を講じてもらいたいと思う。(編集担当:滝川幸平)