【今週の展望】翼を失ったイカロスは「迷宮」に舞い戻るのか?

2015年03月29日 20:38

 今週、3月第5週、4月第1週(3月30~31日、4月1~3日)は5日間の取引。3月31日は年度末、4月1日は新年度入りだが、東京株式市場は前週、3月期決算銘柄の権利確定イベントを1週間早い傷だらけの受難劇で通過した。世界の株式市場の休場日は4月2日、カトリックの信仰あついフィリピンとメキシコが復活祭(イースター)週間の「聖木曜日(洗足木曜日)」で休場する。インドはジャイナ教の開祖マハーヴィーラの誕生日の祭日で休場。3日はキリスト教の復活祭(イースター)前々日の「聖金曜日(グッド・フライデー)」で、本物の受難劇上演。アメリカや英国、ドイツをはじめヨーロッパ諸国、オーストラリア、シンガポール、香港など世界の多くの株式市場が休場になる。アメリカはNY証券取引所やNASDAQ、CMEは休場するが、債券市場は短縮取引。

 国内の経済指標は、3月30日の鉱工業生産指数と、3ヵ月ごとに企業の景況感を調べる4月1日の日銀短観が重要。3月30日は2月の鉱工業生産指数速報値、建設機械出荷額、31日は2月の毎月勤労統計調査速報値、住宅着工件数、自動車生産・輸出実績、4月1日は3月調査の日銀短観、マークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、新車販売台数(2014年度分も発表)、各百貨店の売上高速報、2日は3月のマネタリーベース、日銀短観の企業物価見通し、4~6月期の鋼材需要見通しが、それぞれ発表される。

 3月31日は年度末。4月1日は新年度入りで多くの企業で入社式が行われ、祝辞でのトップの発言が注目される。税制ではこの日から法人税の実効税率が引き下げられ、軽自動車税が引き上げられる。電力の自由化を控えて「電力広域的運営推進機関」が設立される。2日は「生活意識に関するアンケート調査」の結果が発表される。大引け後にファーストリテイリング<9983>が3月の国内ユニクロ売上高速報を発表する。

 主要企業の決算発表は小売業や外食産業が多い2月期本決算の発表が出始める。3月30日はしまむら<8227>、ニトリHD<9843>、ウェザーニューズ<4825>、象印マホービン<7965>、31日はハニーズ<2792>、パイプドビッツ<3831>、日本エンタープライズ<4829>、USEN<4842>、ユニオンツール<6278>、4月1日はクラウディア<3607>、日本フイルコン<5942>、2日はキユーピー<2809>、セブン&アイHD<3382>、平和堂<8276>、カネコ種苗<1376>、ダイユーエイト<2662>、ナガイレーベン<7447>、西松屋チェーン<7545>、不二越<6474>、3日はあさひ<3333>、岡野バルブ製造<6492>、ジーンズメイト<7448>、小津産業<7487>、ハイデイ日高<7611>、オンワードHD<8016>、タカキュー<8166>、セキド<9878>。新規IPOは今週はなく次回は4月8日。

 海外の経済指標は、4月3日のアメリカの雇用統計は言うまでもなく、1日のアメリカのISM製造業景況感指数も重要。

 3月30日はユーロ圏の3月の消費者信頼感指数確報値、ドイツの3月の消費者物価指数(CPI)速報値、アメリカの2月の個人所得・個人消費支出、仮契約中古住宅販売指数、3月のダラス連銀製造業活動指数、31日は英国の10~12月期国内総生産(GDP)確報値、ユーロ圏の2月の失業率、3月の消費者物価指数(CPI)速報値、アメリカの1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、3月のシカゴ購買部協会景気指数、CB消費者信頼感指数、4月1日は中国の3月の物流購入連合会の製造業購買担当者景気指数(PMI)、ドイツ、フランス、ユーロ圏の3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、アメリカの3月のADP雇用統計、マークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)、ISM製造業景況感指数、新車販売台数、2日はアメリカの2月の貿易収支、製造業受注指数、3日は中国の3月のHSBCサービス業購買担当者景気指数(PMI)、アメリカの3月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)が、それぞれ発表される。

 4月1~12日にNYで国際自動車ショーが開催される。2日は3月4、5日に開催されユーロ圏の国債の買い入れを正式決定したECB理事会の議事要旨が発表される。5日は復活祭(イースター)。南半球のオーストラリア、ニュージーランドなどが冬時間に移行する。

 アメリカ主要企業の決算は4月1日にモンサントが発表する予定。

 人間の心理は、げに恐ろしい。3月期決算銘柄の権利付き最終売買日という特殊要因があり、「日経平均2万円タッチか」という見方もあった前週26日の〃兜町劇場〃は、痛恨の275円安で投資家心理がアッパー系からダウナー系に激変する「サイコサスペンス」の恐ろしさを堪能させてくれた。27日はその続編で、配当権利取り勢力が消えた権利確定イベントの「真空」を衝かれて後場の約1時間で490円も急落するカタストロフ。しかも午後1時すぎまでは前日比プラスまで回復させて喜ばせ、その後の底なしの急落の恐怖を際立たせるというヒッチコック顔負けの鮮やかな演出で、これがスリラー映画なら続編ながら本編以上のあっぱれな出来だった。

 もっぱら心理によって支えられた強気相場はこんな「マインドシフト」であっさり幕を閉じ、マーケット心理がファンダメンタルズ分析やテクニカル分析の理屈を屈服させて成り立っていた「サイコ相場」がいかにもろい「砂上の楼閣」であったか、2日合わせて460円安でイヤと言うほど見せつけられた。後に残るのは、それがトラウマになったアンニュイな後遺症なのだろうか?

 今さらながら、こうなる予兆はあった。投資部門別株式売買動向で、3月第2週に海外投資家の買越額がその前週の1.46倍の3062億円に急拡大し、第3週(16~20日)も買越額は1334億円に減少したとはいえ海外投資家の買い越しが6週続いていた。海外勢が主役の膨脹した裁定買い残が後に裁定解消売りをもたらす潜在勢力として深く静かに潜航し、それが一気に顕在化したのが26日と27日後場の出来事だった。かくして「2万円」の〃願文〃がかないそうな予感まで漂っていた東京市場を先物仕掛け売りでゲリラ急落させる奇襲作戦は連日、まんまと成功。今、焼け野原にはからっ風が吹き渡っている。今週の東京市場は「あとは野となれ、山となれ」なのか? 立ち直れぬまま、月が変わり、年度が変わり、「4月は残酷な季節」(T.S.エリオット)になっていくのか?