今週、3月第3週(16~20日)は5日間の取引。21日は「春分の日」の祝日だがあいにく土曜日で、損した気分? 今週は日米の中央銀行イベントウィークで、16~17日に日銀の金融政策決定会合、17~18日にFOMCが開かれる。FOMCでは声明文に「patient(辛抱強く)」という言葉が残るかどうかで思惑が交錯しそうだ。世界の主要株式市場の休場は、16日はメキシコが19世紀に在任した大統領ベニト・ファーレスの誕生日で休場。フランスの侵略に抵抗した英雄。
国内の経済指標は18日の貿易統計に注目。2月は原油安に歯止めがかかったが、それが数字にどう影響するか? 16日は2月の首都圏・近畿圏マンション市場動向、17日は1月の景気動向指数の改定値、18日は2月の貿易統計、訪日外国人客数、10~12月期の資金循環統計速報、日本製半導体製造装置BBレシオ、19日は1月の全産業活動指数、2月の全国百貨店売上高、20日は2月の全国コンビニ売上高、食品スーパー売上高が、それぞれ発表される。
16~17日に日銀の金融政策決定会合が開かれる。17日に結果が発表され、大引け後に黒田総裁が記者会見を行う。18日は春闘のベアの集中回答日。ミシェル・オバマ大統領夫人が初来日して20日まで滞在する。20日は2月17、18日に開催された日銀金融政策決定会合の議事要旨が発表され、黒田日銀総裁が日本外国特派員協会で講演を行う。
主要企業の決算発表は端境期。16日はJPNHD<8718>、くろがねや<9855>、17日はモロゾフ<2217>、アスクル<2678>、銚子丸<3075>、エニグモ<3665>、ナイガイ<8013>、18日はツルハHD<3391>、19日はクスリのアオキ<3398>が発表する予定。
新規IPOが17日に再開する。今週は5銘柄で、3銘柄が情報関連、2銘柄が外食関連と、ともに投資家に人気のあるセクター。17日は2銘柄。コラボス<3908>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、コールセンターの運営に必要な諸機能をクラウドサービスで提供する事業を行う情報関連企業。公開価格は3620円。エムケイシステム<3910>がジャスダックに新規上場する。大阪市が本社で、社会保険、労働保険等に関する業務支援ソフトウェアを提供する情報関連企業。公開価格は3500円。
19日は3銘柄。ショーケース・ティービー<3909>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、ウェブサイト最適化技術で成約率を高める「ナビキャスト」などウェブマーケティング支援を行う情報関連企業。公開価格は1800円。ヒューマンウェブ<3224>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、カキ(オイスター)料理のレストラン経営やカキの卸売を行う外食関連企業。公開価格は1800円。エスエルディー<3223>がジャスダックに新規上場する。東京が本社で「kawara CAFE & DINING」などの飲食店舗を展開する。公開価格は1650円。
海外の経済指標は16日のアメリカの鉱工業生産指数が要注意。最近は気まぐれにプラスになったりマイナスになったりしてその日のNY市場を振り回しているからで、ポジティブ、ネガティブどちらもありうるという心構えが必要だろう。16日はアメリカの2月の鉱工業生産指数・設備稼働率、3月のNY連銀製造業景気指数、NAHB住宅市場指数、1月の対米証券投資、17日はドイツの3月のZEW景気予測指数、アメリカの2月の住宅着工件数、建設許可件数、18日は英国の11~1月の失業率、ユーロ圏の1月の貿易収支、19日はアメリカの10~12月期の経常収支、3月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、2月のCB景気先行総合指数が、それぞれ発表される。
17日はイスラエルの総選挙の投開票日。インドネシア、トルコで中央銀行が政策金利を発表する。17~18日にFOMCが開かれる。18日の終了後にイエレンFRB議長が記者会見を行い、景気の見通しを述べる。19日はスイスの中央銀行が政策金利を発表する。19~20日はEU首脳会議が開かれる。家庭用ゲーム機が解禁された中国で20日にソニー<6758>の「PS4」が発売される。
アメリカ主要企業の決算は、17日はオラクル、19日はレナー、ナイキ、20日はティファニー、KBホームが発表する予定。
前週の日経平均は、まるでラグビーの試合で快速ウイングの選手が相手の猛タックルをかわすようにSQ週のトラップ(罠)からうまく逃げ切った。10日は後場から「春の嵐」が吹き「ついに年貢の納め時が来たか?」と思わせる大幅下落だったが、翌11日はNYの大幅安を受けて続落という大方の予想を裏切ってプラスに転じ「前へ」。週後半はその勢いのまま19000円ラインを突破してメジャーSQ日の金曜日まで全速で駆け抜け、週間騰落を大幅プラスにした。
さて、13日にメジャーSQを通過し、今週は過去のパフォーマンスが概して良い「SQ後週」にあたる。とりわけ3ヵ月に1度のメジャーSQの通過は「日経平均先物の需給のリスタート」を意味する。SQ日の強制決済だけでなくSQ前の反対売買決済や、期近のポジションが期先にロールオーバーされることで需給状況は改善される。過去のデータを見ても、2012~2014年の3年間、計12回あったメジャーSQの翌週の週間騰落は10勝2敗で83.3%の高勝率だった。3月後半は需給によって相場が乱される可能性は低いと考えてもいいだろう。
では、31日の期末が接近する3月後半のリスク要因は何か? 外部要因を除けば最大のリスクは「決算対策売り」だろう。3月期決算企業の期初にあたる昨年4月1日の日経平均終値は14791円で、3月13日の終値はそれより4463円も高い。前年度の期初と期末の日経平均終値の差は+2692円だったから、決算対策売りの「うま味」は前年度末の1.66倍ある。リストラ費用やM&Aによるのれん代の償却で特別損失を計上する企業は、保有株式の決算対策売りで特別利益を捻出して穴埋めして最終損益を良くし、株主還元をやろうと動くかもしれない。逆に期末の「ドレッシング買い」は少なくなりそうだ。お化粧しなくても保有株式の評価損益は前年度の1.66倍、美人に見えるから。
その決算対策売りと綱引きをするライバルは何か? それは期末ならではの個人投資家による株主優待や配当の権利取りだろう。もうすでに配当利回りが良い医薬品銘柄が買いを集めたり、株主優待の〃最高級ブランド〃オリエンタルランド<4661>が人気化するなど、早くもその兆候があらわれていた。ここで言う「個人投資家」とは、年じゅう相場を張って株価が下がればすかさず押し目買いに動く個人とは全く別物で、その季節が訪れたら飛んでくる渡り鳥のようなもの。「権利ドリ」の群れはシーズンが終われば飛び去っていくが、それでも来週26日の権利取り最終日までは存在感を発揮するだろう。今年はそれに年金資金や日銀のETF買い入れという「助っ人」もついている。