女性の中には、友人の結婚式のドレスで出費がかさむといった経験や、去年流行した柄は今年には流行遅れになり、タンスに眠っているといった経験を持つ人も多いだろう。
そんな女性たちの悩みを解決すると思われるのは「レンタルサービス」である。ここ半年から1年の間に米国で人気を集めている「Le Tote」などのファッションレンタルサービスが流行の発信で、実は日本でも同様のサービスが続々と開始している。月額5800円で、洋服だけではなくアクセサリーやバッグも借り放題の2015年3月からスタートしたファッションレンタルアプリ「SUSTINA」。シャネルなどのハイブランドのドレスもレンタルできる西麻布に実店舗を構える「Dress Code」。3月20日から3月22日までの3日間、原宿にてプレオープンし、その後の5月に本格的なサービスを開始予定の、月額500円から利用でき、初心者にも嬉しい価格帯になっている「Licie」。
このように日本で次々とサービスが始まっているという実態も驚きだが、ドレスだけではなく普段着までレンタルできるというのがまた驚きである。まさに今アパレル産業は過渡期だといっても過言ではなかろうか。
オールアバウトのレディースファッションガイドの遠藤友香氏によれば、ここ数年、日本人の消費や生活スタイルを表す上で、「シェア」という考え方が新たに挙っており、シェアカーやシェアハウスなど、車や住居はもちろん、ファッションにもその流れが見られるそうだ。また「SUSTINA」の開発元のスタートアップ企業オムニスの代表取締役兼CEOの上田 徹(うえだ とおる)氏も、特に若い世代を中心に「所有」することから「シェア」するという「共有型経済のモデル」に関心が移っている時代だと述べており、SNSで共有するといった現代のライフスタイルを背景にこのようなシェア文化が築いているのだが、アパレル産業にまで至ったのにはいくつか理由がある。まず節約志向により、娯楽用品への出費が減少していることだ。不安定な今の時代において節約志向の高まり、将来のためにできるだけ出費をおさえたいと考えた結果や、住宅事情の関係で洋服を買っても収納に困る人が多いことも考えられる。(遠藤氏)さらに昨年3月には、消費税増税も節約志向に拍車をかけたことだろう。
次に断捨離による価値観の変化だ。2010年には流行語になった断捨離。それ以前は、捨てることを「もったいない」と捉えていた文化があった為、捨てることは悪と考えられてきた。しかし断捨離により、身の回りをすっきりさせることが良いとされる文化が再構築され、若者を中心に価値観が変化しているとも考えられる。
このようなシェア文化のもと洋服のレンタルが突如普及し始めたことにより、アパレル産業の関係者は服が売れなくなるという懸念を持っている人は少なからずいるだろう。しかし、単純に洋服の購買がレンタルに移行するのではないと思う。何故なら、レンタルは、今迄気になるが買うほどではなかったような購買意欲が低い商品に対して需要が増加し、むしろアパレル業界にプラスの影響を齎すのではと思うからだ。(編集担当:久保田雄城)