中国主導のシルクロード経済圏構想で、世界経済はどう変わるのか

2015年04月02日 07:11

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中国の習近平国家主席は、3月28日から中国海南省で開かれた国際会議「ボアオ・アジアフォーラム」で演説し、「海と陸のシルクロード経済圏構想(一帯一路)」の実現に自信を見せた

 中国の習近平国家主席は、3月28日から中国海南省で開かれた国際会議「ボアオ・アジアフォーラム」で演説し、「海と陸のシルクロード経済圏構想(一帯一路)」の実現に自信を見せた。

 「一帯一路」は、「一帯」と「一路」からなる。「一帯」は、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにいたる「シルクロード経済ベルト」で、「一路」は、中国沿岸部から東南アジア、インド、アラビア半島の沿岸部、アフリカ東岸までを結ぶ「21世紀海上シルクロード」だ。

 「一帯」の原型は、2013年9月7日に習主席がカザフスタンのナザルバエフ大学で演説した際に初めて提唱し、「一路」は同年10月3日に同主席がインドネシア国会で演説をした際に初めて提唱した。

 2014年11月に北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、習主席は「一帯一路の建設を推進していきたい」と各国に呼びかけ、同年末の「中央経済工作会議」で、「一帯一路」は、2015年地域発展戦略における最も優先順位の高い政策と位置づけられるに至った。

 ボアオでの会議で、習主席は「『一帯一路』構想は空虚なスローガンではなく、すでに60以上の沿線国と国際組織が積極的な態度を示している」と語っている。そして、「一帯一路」構想が、鉄道、道路、石油・ガスのパイプライン、送電網、港湾などのインフラ整備を中心とした地域経済統合を促進するものであることが示された。インフラ投資のために、すでに中国は400億ドルを拠出してシルクロード基金を設立しており、いまアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設を目指している。

 「一帯一路」構想が動き始めることによって、世界はどう変わるのだろうか。注目すべきは、この構想にアメリカが入っていないことだ。アメリカが主導してきた国際経済秩序が徐々に変化していくことになるだろう。

 習主席はボアオの会議で、「一帯一路」構想に関わる国々との貿易について、今後10年間で年2兆5000億ドルを超える規模になるとの期待を示した。今後、世界貿易における、途上国間・新興国間貿易の比重が高まり、途上国・新興国の発言力が拡大すると予測される。

 貿易・投資の比重がユーラシアに移ることによって、これまで欧米が主導してきたルール作りも、ユーラシア諸国が主導する時代が訪れるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)