有休取得率は海外水準の半分以下 厚生労働省が企業義務付け検討

2014年11月15日 20:41

画・有休取得率は海外水準の半分以下 厚生労働省か_企業義務付け検討

有給休暇取得促進のため、厚生労働省は11月5日、労働政策審議会の分科会を開き、企業に対して従業員の有給休暇消化を義務付ける案を検討した。現行では自己申請となり、職場の雰囲気から取得手続きを取りにくいなどの問題点がある。

 有給休暇取得促進のための対策が厚生労働省で練られている。11月5日には労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会が開かれ、企業に対して従業員の有給休暇消化を義務付ける案が検討された。

 旅行企画会社の「エクスペディア」が2013年8月~9月に13カ国を対象に実施した、有給休暇取得率に関する調査によると、日本の有給休暇取得率はワースト1位で39%だった。反対に、取得率トップだったのはブラジルとフランスで、ともに支給日数30日、取得日数30日で、取得率100%となった。続いて取得日数が多かったのはスペインで26日87%、オランダが21日で84%、インドが18日で75%、オーストリアが16日で75%、シンガポールが14日で93%、香港が14日で100%、アメリカが10日で71%、メキシコが10日で83%、タイが8日で73%、韓国が7日で70%、そして日本の順となる。

 日本の有給休暇支給日数は18日であり、他国と比較して著しく低いというわけではないが、実際に取得しているのはわずか7日にとどまっている。他国が70%以上の取得率に達しているのに対し、その半分以下の水準である日本は、制度だけが空回りしているといっても過言ではない状況だ。さらに有給休暇を一日もとっていないという人の割合は17%にものぼり、仕事への満足度も60%と、13カ国中もっとも低い結果となった。

 有給休暇が取得しにくい理由としては、サービス残業や休日返上で働くことを当然としていた長年の風潮や、有給休暇制度利用の申請方法が挙げられている。現行では従業員自ら会社に休暇申請を願い出る必要があり、職場に対する遠慮から有給休暇を取得したくても踏み切れないケースが多い。

 厚生労働省は従業員による自己申請制を見直し、企業側に有休消化を管理させることで取得率向上を目指す。海外の仕組みを取り入れて、企業側が有給休暇取得日を指定するなど利用方法を変更していく方針だ。日数や具体的な手続きなどをさらに審議したうえで、2016年の実施を目指し、15年の通常国会に労働基準法の改正案を提出する。仕事への満足度や能率アップにも繋がる労働環境の改善に、高い期待がかかっている。(編集担当:久保田雄城)